匿名さん 2022-05-28 14:28:01 |
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( 差し出された掌の嫌な魔力は、隠せていないと言うよりは隠す気のない悪意に満ち溢れたもの。船上からわかりきっていたことだが、実際にここを訪れたことで、目の前の連中にグランポートを任せるわけにはいかないという気持ちは一層強くなっていた。その為に先程からの侮辱にも必死に耐えているにも関わらず、ここで握手を拒否していいものか、どうにか魔力を相殺できないか、手の中で魔法式を捏ねくり回して逡巡してしまい。その場はギデオンが笑われ役を買って出てくれたお陰で、なんとか捜査の権利は守れたものの、魔法から仲間を守る術もないくせに何がヒーラーだと、連中への怒りと同時に、自分の不甲斐なさに自分のつま先を睨みながら、トリアイナの戸をくぐった。 )
──なんっなの!アイツら!!!
特にジェフリー!!本当に信じられないわ!!生え際から残りの毛全部毟りとってやりたい……
( そうして立地だけは恵まれたトリアイナから、まずは拠点を決めようと大通りを歩きながら宿を探すことにして。あまりの衝撃や不快さ、仮にもギルドがあそこまで荒れているやるせなさに、暫くは口数も少なく心做しか足取りも元気がなかったが、ギルドの看板が見えなくなった瞬間、1歩強く踏み出したかと思えば一気に沸騰して。若い頃はそれなりの容姿らしかった名残が感じられ、今も明らかに気にしているであろうジェフリーの妙に広い額と、長い前髪に容赦なく言及すれば、胸の前でワナワナと何かを掴むように手を握り。そうして怒りに震えていたのもつかの間、ゆるゆると両手を下ろせば、しょんぼりと肩を落として立ち止まり。私がもっと我慢出来れば、悪意から仲間を守る術があれば、ギデオンさんを馬鹿にされることは無かった──!状況が悪かったのはその通りだが、自分のことより何より、怒りを感じていたのはその事で。目と鼻の奥がツンとするのを誤魔化すように、手の甲で鼻を擦り細い喉を上下させると、堪えるような細い声で、連中の前で主張してやりたかったことを漏らして。 )
ギデオンさんの方が強くて、ずっっっと格好いいのに……
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