匿名さん 2022-05-28 14:28:01 |
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──ギデオンさーん!おはようございます!
( オレンジ色の西日が差し込むカレトヴルッフのギルドロビーは、今日も今日とて2人が出会った日のごとく、賑やかな連中でごった返している。昼夜問わず鳴り止まない喧騒の中、周りを見回すギデオンを目掛け、茶色いポニーテールを元気に揺らしながら、満面の笑みで駆け寄って来るのは、いつもの装いに身を包んだヴィヴィアンだ。──あれから、ちゃっかり追加の憲兵達が持ってきた制服に着替えていたジャネットや、元々セミフォーマルの男性陣とは違い、早朝まで重いドレスを引きずりながら、捜査や取り調べ、負傷者の治療等に当たることとなった女冒険者3人は今朝方、小城より一足早く解放されていたため、ギデオンより数時間早く目覚めると、とある調べ物のために魔導学院まで往復してきたところ。「ったく、なんの鍛錬かと思ったぜ」とは、可哀想なリボンが伸びきったコルセットを脱ぎ捨てたカトリーヌの言だ。かれこれ10時間以上ぶりくらいの再開になる相棒に、時間帯に合わない挨拶をして勢いよく頭を下げたかと思うと、後ろで手を組みあざとく見上げる様は完全ないつも通りで。 )
昨晩はお疲れ様でした。お怪我は如何ですか?
少しご相談があるんですけど……まだ何も召し上がってなければ、ご一緒したくて待ってたんです……
( 昨晩、アイリーンの話に出てきた特徴に酷似した銀髪緋眼の男を取り逃したのは不運だったが、愛用の剣すら持たないギデオンを相手に、向こうも必死だったに違いない。その毒により何とか逃げおおせたものの、このキングストン最大の研究施設、魔導学院の手にかかれば、それ自体が決定的な証拠となりうる。採取したそれを媒体に、強制召喚するにはまだ数日以上かかりそうだが、夢魔の類のそれかつ、今までの呪具の魔素と同じそれとみて、大方間違いないというお墨付きは貰ってきた。とはいえビビには、夏の終わりから追い続けてきた知能の高い悪魔を召喚し、大捕物を繰り広げられるような場所の心当たりやコネは無い。そこら辺を中心に、その他諸々今後の捜査についての相談をという訳だが。ランチの時間はとっくに終わり、ディナーにはまだ早いこの時間では、ギルドの隣で冒険者向けに営まれているマーゴ食堂くらいしか開いていないだろうが、愛しのギデオンと共にいられる時間を引き伸ばせるのであれば、そんなことは詮無いことだ。 )
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