匿名さん 2022-05-28 14:28:01 |
通報 |
そうだな。あいつらを手伝って……キングストンに帰ろう。
(血だまりの中に膝をついたままの戦士・ギデオンと、笑顔で手を差し伸べるヒーラー・ヴィヴィアン。それはまさに、象徴的としか言いようのない光景だったことだろう。暗い室内にもかかわらず、ギデオンはどこか眩しそうに相手を見上げ……ふ、とその青い目を和らげると。やおら立ち上がりながらも落とした視線は、己の節くれだった手を素直に重ねた、相棒の白い掌へと注がれる。……ごく軽く握り返したヴィヴィヴァンの細い指先は、幸い、温かいままだ。それでようやく緩やかな表情を取り戻すと、僅かに身を寄せ、穏やかな声で囁いて。そうして彼女とふたり、地上に続く階段を戻れば──出迎えたアリスとアランに、その血まみれの姿のせいで悲鳴を上げられることとなった。)
(──さて、そこからが大仕事だ。せっかく犯罪者たちを拘束しても、中途半端にやんごとなき顔ぶれが混じっているせいで、おいそれと身柄を移送するわけにはいかない。加えて他の共犯者たちも炙り出す必要があるとなれば、小城はたちまち閉鎖され、華やかなダンスホールは臨時の合同取調室へと様変わり。追加投入の憲兵たちがブースごとに聴取を行い、ギデオンたち冒険者もその補佐、もしくは裏方作業である証拠の収集に奔走することとなり。……途中、やけに物静かなエドワードや、ごくいつもどおりに会話を交わすギデオンとヴィヴィアンに狼狽えた顔を浮かべるジャネットなどを見かけたが、気にする暇があるはずもなく。結局城に泊まり込み、上がりを迎えたのは翌日のこと。まずは朝方にヴィヴィアンら女性陣を帰し、ギデオンら男性陣も、昼前には無事カレトヴルッフに帰還して。シャワーを済ませて仮眠室に落ち着けば、十五時間以上ぶっ続けて働いた疲れを取るべく、泥のように眠り込む。──目を覚ましたのは夕方、キングストンの西の彼方に赤い陽が落ちる頃。デレクやアランと共に報告書を片付け、資料室にいたマリアのところに顔を出し、廊下ですれ違ったドニーに夢魔関連の質問を投げ──それからようやくロビーに降りて、相棒の姿を探す。この二ヵ月弱続けている“まじない”捜査の進展について、相棒ときちんと話したいところだが……まだ、ギルドにいるだろうか。)
トピック検索 |