匿名さん 2022-05-28 14:28:01 |
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( ──あー、本当に夢の中にいるみたい!ビビの言葉に一瞬見開かれた目が、あまりにも優しく細められるから、その後の見慣れぬ表情も相まって、自分は相手にとって、特別価値のある人間なんじゃないかと勘違いしそうになる。少し開けたスペースに誘われて、最早合図するまでもなくターンしようとした瞬間、囁かれた否定に思わず──ふふ、と小さな笑い声が漏れた。こんな時まで律儀に拒絶されたのだと思うと、半年前から変わらぬ頑なさに、最近とんと感じてなかったぬるい安心を覚えて、思わず顔がほころぶ。武骨な腕の中に帰ったら──私にとっては王子様ですよ!そう言って、困惑気味に逸らされる仏頂面を想像した時点で……迎えられた腕が武骨どころか、非常に穏やかに洗練されていたことも、懐かしさを覚えるほど、このやり取りが久しぶりだった意味も、そのどちらにも気付けていなかった。溌剌と顔を上げ、思ったより近くにあった意地悪な微笑みに、やっと警戒心を思い出しても時すでに遅し。その情熱的すぎる、しかし自分を揶揄うためだけに降らされた冗談だろうそれに「ひぇっ」と色気のない悲鳴を漏らして、耳の先まで一気に染め上げる。往生際悪く「や、だ、もおー……、」と動揺を誤魔化そうとした声も完全に上擦って、恥ずかしそうに長い溜息を漏らせば、困ったように眉を下げ、のぼせ上がった小首を小さく傾げて、降参するしか無かった。)
──……帰さないでって、言っても、招待してもくださらないくせに。……いじわる。
( そんな傍から見ても可愛らしい表情から一変、此方からさりげなく距離を取りながら「恐れ入ります……?」と見上げる彼女の、そつの無い微笑みを目の当たりにすると、これは強敵だなと女上司の想いの前途多難さを思って、思わず小さく笑いが漏れた。非常に真面目そうな彼女には──……数分前のホール上階、会場入口付近にて。聞き込み相手のお喋りに捕まっていた最中の話。……潜入を手引きをした不安がそうさせたのだろう、予定より早くホールから上がって来てしまったラクロワ卿に、ギデオンペアと合流する前、しかもトゥーヴロン夫人と離れた位置で鉢合わせしかけてしまい、慌ててダンスホールに降りてきたのだと。捜査のため直前にジャネットとは踊ってしまっていたから、誰でもいいから自由の効く他の相手と踊りたかっただけだと伝えてやると、笑われ心外そうに瞬きをしていた彼女の顔に、あからさまな納得と安心の色が浮かんだ。そのあまりの素直さには面食らい、己を棚に上げて心配さえ覚えてしまったが──それからは、プライベートに関する話題にも朗らかに答え、小手調べに投げたジョークへも、教養を感じさせる返答を打ち返してくる彼女との数分間は、信じられないほど早く過ぎ去った。それ故、エドワードと話しながらも、チラチラと相棒の方を伺う彼女が煩わしくて、態と彼らが死角になるような位置へリードし続けた動機も、愛しい相棒を見失って、どこか心細そうな表情を隠している彼女に湧き上がった愉悦も、この時点ではまだ無自覚だった。 )
( ──エドワードの言う通り、煌びやかでありながらもどこか不穏なワルツ・コーダが終わると、会場が暗くなり始める。最初は意図が読めなかったエドワードだが、話してみると気さくで明るい好青年で。正直、ギデオンの危機を前に"それどころ"では無いのだが、人懐こく、そもそも仕事相手である彼を無下にも出来ずに、へらへら笑う彼に適当な相槌を打つ苦痛は、短いはずのワルツ・コーダを、先程の花のワルツよりもずっと長く感じさせた。その上、先程より人が増えて来たのだろうか?早々にギデオンとジャネットを見失ってしまえば、"真夜中"で立ち止まって久しぶりに発見できたギデオンら2人の姿に、ぴしり、と固まってしまう。なまめかしい視線をギデオンに向けて、その腕を絡ませているジャネットと、それを振り払わないギデオン。その光景に──嫌、そんな女に触らせないで。それ以外の思考は何も働かず、遮二無二2人に向けて踏み出そうとした脚が、がくん、と背後から引き止められる。は、と振り返れば「ビビちゃん?どうしたの?」と、どこか感情の読み取れないエドワードに腕を掴まれていた。彼はビビの頭越しに2人を覗き見て──「ああ、ジャネットさん復縁できたみたい」と、楽しげに悍ましい言葉を吐く。復縁?知り合いだなんて、そんなこと一言も──と、駆け巡る嫌な想像に立ち尽くした瞬間、やっとこちらに気づいたらしいギデオンと目が合う。それから、立ち尽くすビビの腰に蛇のように目を細めたエドワードが手を回し、なにか覚悟を決めたようなジャネットが、うっとりとギデオンを見上げたのがほぼ同時だった。 )
嘘……、
( / お世話になっております。
お返事にお時間頂き誠にありがとうございました。設定置き場の方の返信はただいま用意しておりますので、もう少々お待ちいただければ幸いです!
たくさんのコンセプトアートや、季節柄のサイドストーリー非常に楽しませていただきました!いつもありがとうございます!当方も牛の歩みではございますが、少しづつ準備しておりますので懲りずにお付き合いお願い致します……!
さて、今回ですが、サイドストーリー『ハッピーハロウィン①』にて、ジャネット様の悪戯が決まりそうな予感が致しましたので、上記の展開とさせていただきました。
当方の完全な勘違いで、返信に困るという場合は書き直しますので、御手数ですがご教授願います。
以上の確認を長々と大変失礼致しました。問題がなければお返事には及びません。よろしくお願い致します!)
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