匿名さん 2022-05-28 14:28:01 |
通報 |
(こちらが口を開く前に大人しく距離を戻した相手を見て、(……ん?)と小さな違和感を覚えたものの。これもきっと彼女なりの新しい駆け引きか何かなのだろう、とその時は流すことにした。別に彼女が大人しくなる分には、ギデオンも平穏を保てるはずに違いないのだから──見過ごせない何かだったような気がするのは、気のせいだ。)
……ありきたりな具材がいちばんだな。強いて言えば、肉にはチョリソーを使ったのが好きだ。
(しかし、無意識下ではどこか引っかかっていたものだから。彼女が寄こしてきた質問の陰に隠れたいじらしいしたたかさには何ら気づくことなく、素直に考え込んだかと思うと、普段通り淡々としていながらも、どこか懐かしむ声を返して。──ポトフは、優しい味のそれを、冬の寒い日に母がよく作ってくれた。ところがある晩、近所の肉屋は皆閉まってしまった時間に。父親の来訪用にとっておいた本格的なチョリソーしか持ち合わせがないと気付いた母が、「……オトナの味に挑戦してみる?」なんて、悪戯っぽくウィンクしてきたのだ。程なくして湯気を立たせながら出てきた、ぴりっとした下味のスープは、幼いころのギデオンの舌には当然刺激的過ぎた。しかし、母の言葉を幼気に信じ込んでいた当時は、これを食べられるから自分はもう大人なのだと、得意になっておかわりまでして、それからも寧ろせがんでまで慣れようとして。そのうち本当にその味が気に入り、今でも時折、食材を見繕えた日には自分で作ることもある。──そんな背景こそ今は語らずにいたものの、思い入れのある味であることを横顔の色で語りながら、ギデオンもまた、空の器を軽く洗ってゴミ袋に仕舞い、解析作業の準備に入り。最新鋭の魔導機材にも慣れ親しんでいる相手が必要なものを稼働させてくれるので、普段着のシャツの上に相手が寄こした大型の白衣を羽織り、まだ着けぬゴーグルは首元に下げることにすれば、やたらガタイの良い助手の男が一丁上がりとなる。そう、普段はギデオンの方が上の立場に立つことが多いが、今宵この場に関しては、ヴィヴィアンに教えを乞う側だ。彼女の言葉に素直に従い、『シャバネ』から預かったトランクを持っていくと、作業台の上に乗せ、ふたりで鍵を外して開ける。中に入っているのは、ビロード張りの宝石箱やシルクの袋、香の焚き染められた木箱。そのひとつひとつの中身を、手袋を嵌めて取り出してみるに、やはり一見何の変哲もない、首飾りや腕輪、アンクレットやイヤリングといった装身具がほとんどだ。間違っても混同せぬようそれぞれを別のトレーに乗せていたところで、トランクの底に仕舞われていた手帳に気づき、手に取って確かめる。達筆な字で書かれているのは、それぞれの“贈り物”をどの客が送って来たか、それぞれの客はどんな人間かという内容。なるほど、あの婆はこれらが怪しいのではと踏むなり即行動を起こしたらしい。相手の傍に歩を進めると、手帳の見開きを彼女にも見せ。それから、専門的なことはわからずとも助手として手を動かすくらいはできるからと、色とりどりに輝く作業台の上の品々を示し。)
ありがたいことに、『シャバネ』の婆さんがそれぞれについての情報をきちんと纏めてくれてたみたいだ。引っかかるものがあったら、こいつを参考にできそうだな。──さて、どいつから取り掛かる?
(/こちら単なる感想なのでお返事には及ばぬものです。今朝がた更新されておりましたビビのPFを確認しまして、未だ知らなかった数々の情報にひとしきりはしゃいでおりました……! ギルバートの娘に対する愛情深さにほろりときたり、父と娘の数々のすれ違いにたまらなく切なくなったり、ギデオンと知り合う前のビビの知られざる苦労や、それを乗り越えて人生を切り開く姿に目を瞠ったり、ビビにとってのレイン・アザレアがどれほど大きな存在だったか今一度しみじみと理解したり。ひょんなことからビビの恋愛のトラウマを知ったギデオンが、やはり冗談でも押し倒そうものならきっと怖がらせるに違いないから、とますます(無駄に)ガードを固くしようとしてすったもんだになることもありそうですし、ギルドの女性陣たちのこれからの悪だくみにも期待してやみません。公式供給本当にありがとうございました……!)
トピック検索 |