匿名さん 2022-05-28 14:28:01 |
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うっ……、……?
( その拳が額に当たる瞬間、真っ白に染まる視界と同様に胸の不満も温かく霧散する──はずだった。しかし、ぎゅっと閉じた目を薄く開けながら、思わず自分の胸をまじまじと見下してしまったのは、微かな痺れがこめかみから引いても尚、心臓を息苦しく締め付けるそれが全く消えなかったから。その正体が、過去といえど関係のあった女性に、ギデオンが触れたことへの醜い悋気だとさえ気づかなければ、相手を怒らせて気を引こうとする行為の子供っぽさもまた無自覚で。アイリーンの話が楽しかったことも、自分との関係が深まる前の出来事を非難するのをナンセンスだと思っていることもまた事実。それでも、本気で恋をしたことがある者なら少女でもよく知っている、ビビがギデオンに抱く感情が引き起こす理不尽な感情にはじめて直面すれば「……???」と困ったように眉を下げて困惑し。腕を引き抜かれてやっと意識を取り戻すも、先程までは素直に謝る気でいたというのに、口を開けば責める言葉が飛び出てしまいそうで、どうしても漏れ出てしまった冷めた笑い声を、いつものどうせ相手にされないだろう軽口で誤魔化した。 )
……じゃあ、ここに来たくなったらギデオンさんが付き合ってくださいね
( そうして扉をくぐったバックヤードは、居心地のよさそうな外観とは裏腹に少し殺風景な印象だった。それでも、雰囲気重視というか、ある意味実用一辺倒いうか……兎に角、収納も直視もし辛い形をしたあれこれや、帳簿の類が良く整理されて収納されている様と、従業員の休憩に使われているらしい一角に飾られた一輪挿しが、ここを管理している人の人柄をよく表している。「二人とも適当なところにかけ……やっぱりビビちゃんはこっちの椅子においで」と、二台ある大きく柔らかそうなソファの間で、わざわざ一脚しかないシンプルなスツールを叩かれるのが、なんらかの気遣いだとわかる稀有な体験をしつつ、お礼と共にお言葉に甘えて腰掛ければ本題に移り。アイリーンの話から得た情報は要約すると三つ。まずは、彼女のツテで話の聞けそうな“おまじない”被害者の情報数名分。それから、銀髪に緋色の目をした恐ろしく容姿の整った者達が噂を広めているらしいということ。最後に、おまじないの詳細な方法。ひとつめについては心苦しいが、“おまじない”の性質を調べるにあたり、症例が増えるのは正直ありがたいところ。ふたつめは、ウトピアの客などに話を聞くうちに、そのやけに珍しい特徴の人物が良く登場すると、他でもない彼女が気づいたらしい。複数形なのはそれ以外の年齢や性別、背格好が同一人物とは思えないほどにバラバラだから。そして最後の三つめ、「それがさあ、なんの“おまじない”かはわからないんだけどね」と、色っぽく目を伏せた彼女が教えてくれた内容は、少しでも魔法をかじったものなら一度は触れたことのあるような、資格のない一般人でもメモを片手にその手の店を訪れれば、簡単に手に入れられてしまう材料ばかりを使ったもの。一方で、その材料の加工の仕方や合わせ方は違和感どころか、態とかき乱したというのが正しいかもしれない。例えるならば、十字架をひっくり返して白米に刺すといったような、由来も文化圏もちぐはぐな、ただどれも不吉なそれを無理やり組み合わせた感じ。まるで、悪魔召喚をかなりお手軽にしたような……と、そこまで考え込んだところで「あたしが知ってるのはこれくらいなんだけど……ねえ、まさかタダで話だけ聞いて帰ろうなんて思ってないわよね」と、アイリーンの目が商人らしく光る。確かに今はウトピアの支配人とはいえ、夜の蝶相手に短い時間でも話を聞いて何も払わず帰るのは失礼なのかもしれない。この手の相場は知らないが手持ちで足りるだろうかと、必死に財布の中身を思い出しているビビを見て「やだ冗談よ、それにあたしなんか一晩買ったって冒険者様の分厚い財布には全く響かないって」と楽しそうに吹き出したかと思えば、スッと急に真剣な表情に戻って「ただね、可愛いヒーラーさん……出来たらでいいんだけど、さっき話した子たちの様子を見に行くなら、最初にアメリアを診てあげてくれない?知ってるでしょ『シャバネ』の。友達なのよ」そうギデオンの方を一瞥しながら、足を組み替えたアイリーンの表情は色っぽくも何処か儚げで、気づいたら彼女の綺麗な手を取って力強くうなずいていた。 )
ええ、勿論です!アイリーンさんのご友人はお任せください!
( / お世話になっております。今回もご共有ありがとうございます。展開づくりの邪魔などということは一切なく!むしろ素敵なアイリーン様の魅力を表現しきれずもどかしいですが、展開に合わせて動かさせていただきました。蹴り可とのことでしたが、少しだけ確認したいことがございましたので失礼いたします。また、こちらも念のためにはなりますが、当方が登場させたNPCのこともお好きに描写していただければ幸いです。
本題というほどではございませんが、今章、次章とギデオン様の過去に深くかかわる展開を進めるにあたり、シェリーの追加情報や、ビビの父であるギルバートのpfが必要であれば用意しようかと考えております。先程申し上げた通り、お好きに描写していただければ結構なのですが、あったほうが描写しやすいなどあれば仰っていただければ幸いです。どちらかといえば、シェリーはビビよりギデオン様に関係深いキャラですし、これを機に背後様の方で好きにされたいということであればそれも宜しいかと考えております。ギルバートにおいては、対して関わりがなく興味がないということであれば、変に情報量を増やすのもいかがなものかと悩んでおりまして……どちらも此方から言い出すのはどうかとも思ったのですが、これを機にもし、こうされたい!などご意見があればお聞かせ願いたいです。
因みに今回アイリーン様に語っていただいた銀髪赤目の人物ですが、淫魔がそれぞれ相手の好みの容姿に姿を変えているというイメージです。完全に雰囲気設定で、後に活かしていただく必要はないのですが、混乱を招かないようご報告のみ失礼します。 )
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