匿名さん 2022-05-28 14:28:01 |
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……はい、ありがとうございます、勿論です!
それではガンガン参りましょう!
( 相棒の賢しらな腹づもりなど知る由もなく、私的な理由で仕事を邪魔されても、一切気にした様子を見せないギデオンの優しさに感動すれば、尊敬のたっぷり滲む真っ直ぐな視線とともに、相手に絡ませている左腕とは逆の手をグッと握って見せる。寛大な相棒に深く感謝して、邪魔してしまった以上の成果はあげてみせると、意気込むビビのやる気に比例するように、それはもうガンガン相手の黒歴史が暴かれていくということも意味しているのだが、それこそ現時点の2人の知るところではない。
──とはいえ普段関わりのないこの地区に、相手が言うような心当たりがそうある訳でもない。相手の土地勘に助けられつつ訪れたウトピアの外観に、何やら薄い既視感を覚えれば小さく首を傾げて。あまり遠くない記憶に引っかかるそれよりは、此方は多少あけすけな看板が目に毒だが、こぢんまりと古ぼけた建築や立地に見合わぬ小綺麗な風貌、普通の宿なら主人が客を出迎えるフロントには誰もおらず、入口から見えない位置にあるカウンターの奥から小さく人の気配が感じられるのみ。そこで鍵と料金の受け渡しをしているらしい様子は、成程、ここがそういう行為するための宿だからだろう。あまりキョロキョロするのも如何なものかと、サッと視線だけでそこまで観察したところで、やっと気づいた既視感の正体は2ヶ月前、今まさに腕を組んでいるギデオンと泊まることとなったグランポートからの帰路の宿で。今更あの宿の不思議な立地と目的に気がつけば、その夜の醜態までをも思い出し、カアッと耳の先まで熱くなるのを感じるが──流石に今思い出してることバレたら恥ずかしくて立ち直れないかも、と右手で数度顔を仰いでから小さな咳払いをひとつ。自分で見上げたギデオンの顔に少しだけ固くなりながら、カウンターに歩み寄るためを装って、さりげなく左手を抜こうとして。 )
……ッ、ヨシ、あ、あの人にお話聞いてみましょうか、
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