匿名さん 2022-05-28 14:28:01 |
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(経験年数三年目というのは、往々にして微妙な頃合いだ。ピカピカの新米ではなく、かといって完全に熟れたというにはまだ早い。そのためこういった抜き打ちテストを行うと、大抵二種類の反応を示す。ミスを恐れる気持ちから慎重過ぎる振る舞いをとって遅々とした進行に陥る、もしくは自分はもうプロだと慢心して穴だらけの粗雑な立ち回りをしてしまう……しかし、相手はそのどちらでもなかった。状況を鑑みて適切な処置とその手順を導き出し、目上の自分にも臆することなく次々指示を出す手さばきは非常に鮮やかで、見事としか言いようがない。彼女の編み出したワーウルフ狩りの全容、奴らの生態を活かしたその巧さも、文句の付け所など何ひとつ見当たらず。珍しく感心を隠さぬ視線をやりながら、「了解、ボス」と真剣味を帯びた声で返したのがつい先刻。宵闇に沈んだ街は魔法の霧のベールに守られ、ところどころに設置された松明が橙色の明るさを柔らかに広げているのみ。自分を除くと人っ子一人いない隘路、そこに降ってきた相手の声には、油断なく辺りを見渡しながらもしっかりとした返事を。)
問題ない、大丈夫だ。おまえの方も、霧の制御が難しくなってきたら──
(と、そこでふっと言葉を打ち切り、真っ暗に沈んだ一方を振り返る。唯一解放された出入り口であるそこは依然静かだが、それでも夜気の微妙な変化がぴりりと感じ取れていた。程なくして、爪が地面を打ち鳴らす音、フッフッという獣の吐息が聞こえ始め、愛用の魔剣を今一度構え直す。大技を何度乱発してもいい広大な野で戦うのと、守るべき人々のいる狭い街中で戦うのは、動きやすさが断然違う。それでも今夜は、まだ若くして頼もしいサポートがついており、自分は戦闘に集中すればいいと心から思えるのが幸いだ。いざ事が始まれば悠長に打ち合わせなどできない、最後の念押しの声を頭上の相手に投げ上げると、いよいよ飛び込んできた半獣半人の魔獣に真っ向から斬りかかり。)
後ろには一歩も通さないつもりだが、予定外の数に逃げられると厄介だ。一匹を除いたほかは全員ここで殺る。早めに逃げようとする個体がいたら、照明弾で足止めしてくれ──行くぞ!
( / 全然大丈夫です、寧ろ緻密に書いてくださった設定とお気遣いをありがとうございます!単に感想なのでお返事は不要なのですが、ワーウルフ討伐作戦がリアリティと工夫あふれるそれで、これを編み出す主様の想像力に感服したのはもちろん、ビビの実力の高さがありありと伝わって大興奮しておりました…!ふたりの暮らす世界観やビビの恋のきっかけとなる出来事の土台がここまででしっかり築かれたと思うので、ここからいよいよ逃げ回るギデオン×猛アタックするビビの美味しいターンが幕を開けると思うと楽しみです。背後は一旦失礼しますが、また何か相談事項がございましたらお声がけください!)
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