匿名さん 2022-05-28 14:28:01 |
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──ギデオンさ……待って!!待ってください!!
この子たちと話をさせてください!
( ああ、この人が来ればもう大丈夫──薄暗い巣に走る閃光に一拍遅れて空気を揺らす衝撃音。慣れ親しんだ魔素が巣中を迸る感覚に、これ以上ない頼もしさを覚えて心から安心し。此方の言葉を明らかに理解しているらしい知能の高いアーヴァンクだからこそ、両者のプライドを考えればこの場の穏便な収拾の難しさに頭を悩ませていたのだが、ギデオンならきっと全て解決してくれるに違いない。そううっとりと顔をあげたのもつかの間、普段意外と感情豊かな相棒の何も映さない表情が目に入れば、数秒前の自分の見通しの甘さを一瞬で反省する羽目となって。水の代わりに鮮血を滴らせる美丈夫の、一周回って冷静さを全く感じられない冷たい声に顔を引きつらせ、明らかに自分よりも強い敵を目の前にしても尚、気丈にビビを守ろうとするアーヴァンクの腹下から、無理やりはいずり出たのは火事場の馬鹿力という他ない。巣を破壊されたアーヴァンクが怒るのは道理だが、動物や魔物の営みが人間の営みを邪魔した時、人間のビビは人間の味方をせざるを得ない。故にアーヴァンクの味方をする気もないし、先程彼らの巣を問答無用で破壊したことは後ろめたさどころか、正当だったと胸を張って言う強さも持ち合わせている。それでも意思疎通が取れそうな相手なら、魔物相手でも交渉を視野に入れる柔軟性もまたビビの強さで。何より今ここで両者の戦闘を止めたかったのは、派手な血液こそ返り血のようだが、誰より大事な相棒の手足に決して浅くない鋭い傷を診とめたから。今すぐにでもギデオンの治療に駆け寄りたいが、今この魔物を刺激するのは得策といえないだろう。つま先まで濡れ鼠の状態で頬におくれ毛を張り付かせたビビが両者の間に立ちふさがり、ビビの誘拐に予想以上に怒ってくれていたらしいギデオンをまっすぐに見つめて暇を懇願する間、同時にビビに味方されたアーヴァンク達がざまあみろ、と言わんばかりの子憎たらしい表情をギデオンに向けている頓珍漢な状況となっていて。 )
アーヴァンクのいる川は他の魔物が寄り付かないって書いてありましたよね。
巣の場所だけ移動してもらえば、その方が船員の皆さんにも都合がいいはずです!
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