匿名さん 2022-05-28 14:28:01 |
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( もう見慣れてしまった、何故ビビがこんなにギデオンを愛しているのか、一切理解できないと言いたげな困惑の表情。こんな簡単なことも分からないなんて、仕方ない人だなあ──と眉を下げれば、親指で相手の頬をそっと撫で。ギデオンの曖昧な否定と苦々しい表情を、"適当に突き放して喜ぶ人なんですか"という問いにかかるものだと解釈すれば、そうでしょとばかりに、どこか得意気な表情で頷く。──ガラスの瓶と金属の手摺がぶつかる音、小さく見開いた瞳に映るのは、此方に傾いだ上半身と合わない視線、消え入りそうな小さく震える声。そんなシルクタウンで恋に落ちた凛々しい姿とは正反対の姿を見ても尚、最早相手に対する気持ちは揺らがないものとなっていた。ずっと背中を追ってきた相手に、言外に自分といるのが幸せだとさえ言われてしまえば、純粋な嬉しさに目を細めて、相手の首に手をまわす。そんなことを言われて、素直に諦められるほどできた人間じゃない。 )
──そっか、そうなんですね。……話してくれてありがとうございます。
( 手の中にあった命が、自分の指から零れ落ちていく。その絶望はヒーラーであるビビもよく知っている。だからこそ深い事情も知らぬまま、貴方は悪くないなんて言葉が、如何に無意味で軽率かは分かっていて。相手の言葉を否定も肯定もせず、指通りの良い金髪を掻い潜り、形の良い頭を撫でる手つきは、ぐずる子供にそうするような優しいもの。こうしていると、もう何年も隣にいるような気さえしてくるが、シルクタウンからまだたった3ヶ月、ギデオン自身が許せないと言うならば、今のビビにできることはないだろう。それでも心からギデオンを幸せを思っている、その気持ちが伝わるよう祈って腕に力を込めると、抵抗されなければそのままギデオンを抱きしめて。 )
ねえ、ギデオンさん。その償いが終わるまで、待っててもいいですか?
……ダメって言われても、もうギデオンさんとじゃなきゃダメだから、手遅れなんです。
責任取って、ちゃんと……私とじゃなくてもいいから、幸せになってください。
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