匿名さん 2022-05-28 14:28:01 |
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ギデオンさん!お疲れ様です!
( 端的だが気遣いのこもった優しい声に、相手の顔を見るまでもなく、意中の相手だと気がつき振り返る。ギデオンが約束を破るとは思っていなかったが、今晩されるだろう話に、自分でも知らぬ間に緊張していたらしい。ビビにしては少々硬かった表情を、ギデオンの顔を認めた瞬間、頬を上気させてうっとりと好意に綻ばせても、全身ヨレヨレで薄汚れた今のビビを振り返る人間は誰もいない。髪やら服の乱れを恥ずかしそうに撫で付けつつ、相手が近づいてくれた残りの距離すら惜しいとばかりに小走りで近づけば、トネリコ、白檀、ドワーフの蒸留酒、それから少しだけ無属性の魔素、普段ギデオンからしない香りに、相手の気遣いには気付かぬ振りをしてはにかんで。ギデオンが財布を掲げるのを見つめれば、自分の気の効かなさに口元に手を当て赤面する。こういうところがホセさんとの恋を成就させた彼女や、リザとの違いだと痛いほど思い知らされると、せめてもの気遣いに、昼間ギデオンがそれは美味しそうに食べていた好物に違いないそれの方向を指さしながら歩き始めた瞬間。この空気にテンションが上がっていたのだろう、周りを見ずに大きく横に飛び跳ねた青年にぶつかられて、思わず小さくよろめけば、この人混みではそんなたった一瞬でギデオンとの距離が開く。──これくらいなら許されるだろうか、なんとかギデオンとの距離を詰め、そっと手を伸ばすと相手の服の裾を小さく掴んで。 )
あっ、そうですよね……そういえばお昼のケバブ屋さん、まだそこで営業してましたよ……あっ、
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