匿名さん 2022-05-28 14:28:01 |
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盗人騒ぎみたいだな。……、
(目の前の相手にどれほど集中していようが、ひとたび周囲で異常が起これば即座に臨戦態勢を。それは戦士たるギデオンもまた同じで、纏っていた空気をぱっとかき消しながら騒ぎの方角を確認する。遠い向こう、人ごみがより密なメインストリートの方で、「泥棒!」と繰り返す必死な叫びが響いていた。しかし今度は別の方角、そしてまた違う方角からも、バチバチという不穏な物音、人々の悲鳴や怒号、おまけに魔法を撃ち合う喧騒までもが次々と上がりはじめて。複数人による攪乱込みの犯行か、と冷静に見立てをつければ──付近にいた精霊使いと祓魔師に目配せし、コンクール会場の人々の誘導を予め託すことにすると、再び彼女に向き直る。……改めて花火に誘い直したくらいだから、今夜少しも話す暇がないということはないだろう。どこか怯んだように微笑む相手の表情を読み取り、「ヴィヴィアン、」と、真剣な声音でもう一度名を呼べば。先ほどの動揺が見られなくなった瞳には、代わりにどこか懇願の色が宿っていて。)
今起きてる件を片付けて、無事に仕事を上がったら……この話の続きをさせてくれ。例の花火を観ながらになるかもしれないが、有耶無耶にしたくない。
(──それで、もし成り行き上一旦別れることになったら、そのときはここで落ち合うことにしよう、と。念を押すように、真剣な思いが伝わるように祈りを込めて提案すれば。掌中に集めた魔力を抜き身の警棒に吹き込み、さすまたへと換装させて。)
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