匿名さん 2022-05-05 14:12:04 |
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俺には、似合わない名前だよ。
( 無条件に名を褒められれば、肩を竦め、ノートに書かれた名を指でそっと触れた。
勇ましい人。勇敢な人。今では顔すら覚えていない両親がこの世に残していった忘れ物。“名は体をあらわす”なんて言うが、それに自分は当てはまらない。)
……、それは、あまりオススメしないけど。
俺は、1人静かに陰に隠れて過ごすのが好きなんだ。
キミのような人は眩しくて、明る過ぎる。
それに、キミは良くても、俺は、誰かを独占していいような人じゃない。
( 続け様に優しく此方へと触れる相手に、彼の周りにいつも人が居るのはこういうことか、と納得する。褒められて嫌な気はしないものだが、何だか自分にはむず痒い。
嬉しそうに笑う相手の顔を見つめ、「 ありがとう 」と一先ず礼は述べるものの、髪に触れる相手の手へ自分の手を重ね、ゆっくりと此方から引き離した。
そして、黒く染まっている自身を見下ろしながら再度言葉を続けた。
彼は、毎日自分を独占できることを嬉しいなんていうけれど、それはきっと思い違いだ。同じ学部に通う同級生が隣人で、少し高揚しているだけの事。
たくさん散らばる光に紛れ、陰を探し生きる自分には、太陽のような彼は眩しすぎて、全ての陰を払拭されてしまいそうだ。
見るからに彼とは正反対の自分に、周りも当然ながら、自分自身相応しいとは思わない。 )
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