匿名さん 2022-05-05 14:12:04 |
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( 教室内に着き、席へ座ると、まるで空気になったかのように静かに気配を消す。周囲で交わされる挨拶や会話は全てがただの生活音で、自分がそこに交わることは無い。
ゆっくりと目を閉じれば、いつもの様に講義が始まる時を待つだけ__だが、隣から人の気配がした途端、素早く目を開けて其方に視線をやった。
すると、飛びこんできたのは、先程玄関先で見た明るい笑顔に眩しい金髪。おまけに驚くほど距離が近い。)
…え…っと、いや、あの……。
( 視線を泳がせて口篭る此方を他所に、相手は変わらぬ人懐こい笑顔のまま言葉を続ける。隣に座っで良いか尋ねているようだが、そもそも何故自分なんかに声をかけるのか、ましてや何故隣に座ってくるのか…断って良いものなのか、しかし、元々彼が座りたい席だったのかも…。そんなことをぐるぐると思考を巡り、返答に悩んだ末「 うん 」と思わず頷いていた。
講義の内容によっては普通に人と話すし、隣に人が来ることもあるが、こうして初めから誰かが隣に居るというのは慣れていないものである。
しかし、一応相手が話しかけてくれている最中に逃げてしまった前科があるし、おまけに同じ大学で同じ学部だったとは、と少々気まずそうにしながらも口を開いた。)
…その、さっきは、家の前で、ごめん。
隣が同級生って知らなかった。
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