とある星の子 2022-03-13 06:54:28 |
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ああ、助かる。
(現れたのは、杏色のケープに身を包む少女。初めて会った時と変わらない、春先に咲くの花のようなふんわりした雰囲気の持ち主だ。
しかし彼女は、雀に目をやるなりぞっとしたような声を漏らした。こちらの左側でも、何やらハッと息を呑む気配。なぜか聞こえる「キリッ」という擬音。言わずもがな奴だ。しかし無視する。
てきぱき出される指示に従い、彼女が躊躇いなく敷き布代わりにしたケープの上に雀を寝かせようとした。
肩に手を置かれる。振り返ると、内に向けた親指で自らを指している無駄に良い笑顔の笑顔のツンが、脱いだ己のジャグリンググ-プをずいと差し出していた。やはり無視する。
そばにしゃがんで様子を見るが、横たわる雀は相変わらず昏睡状態だ。それなのに胸のコアだけが、喘ぐような瞬きを弱々しく繰り返している。自分がこんな怪我を見たのは初めてで、どうすれば良くしてやれるのか、見当がつきそうにもない。
先輩の星守が信を置くユナは、これからどういう方法をとるのだろう。少しでもその役に立てれば、そう考えて情報を提供し、目線を上げて彼女の瞳をまっすぐ捉え。)
こいつは墓場で、普通のよりでかいカニの群れに何度も突撃されてたんだ。俺が助けたとき──三十分ほど前だが、そのころにはもうこうなってた。
なにか必要なものがあれば言ってくれ、俺がとってくる。
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