とある星の子 2022-03-13 06:54:28 |
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(こちらの言葉にユナは嬉しそうな声をあげ、きゅっと両手を握りしめた。そして未だ恥じらいつつ、それでも込み上げる熱を抑えられないといった様子で、ある本を見せてくる。
それは、この世界のあちこちに刻まれた壁画を模している挿し絵。おそらくは考古学か何かの類の書なのだろう、随分古めかしいものだ。
自分には見慣れない、今までは興味もなかったそれについて、彼女は声を弾ませながら語る、語る。その無垢な様子に、再び目を吸い寄せられる。
やがて自分の心が、どこか知らない場所へ落ち着いていく感触を得る。──悪くは、ない。だから、ただそのまま受け入れる。
そんな変化があったからだろう、彼女の遠慮がちな言葉には、平静を取り戻した声で返す自分がいた。
あの馬鹿のような積極的で明るい言葉は捻り出せないが、彼女が思うよりは乗り気であることは示したい。そんな思いで約束を提案。)
ん、別にどこでも付き合うよ。……とりあえず明日、更新時間あたりはどうだ?
(言いながらふと手を伸ばし、彼女から無言で借りた書物をぱらぱらとめくって、探し当てたさっきの頁を確かめる。挿絵だけではわからなかったが、小さく添えられた文を読む限り方舟のものであるらしい。再び彼女に目を向けると、本を返しつつ打診し。)
確か、ちょうどデイリーが捨て地のはずだ。周期的に墓場の瞑想が来る可能性もあるから、街道伝いにしろホームから行くにしろ、かなりの飛距離になるだろうが……回れる範囲が広いに越したことはない、よな。
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