とある星の子 2022-03-13 06:54:28 |
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……あ……ああ。
(褒め言葉に恥じらってか、頬を淡く染めたユナ。しかし、他方に向けた目に何かを浮かべたかと思うと、向き直ってこちらの手をふわりと包み、瞳を笑ませて語りかけてきた。
どうしてか突然、世界に色がついたように見えた──あたたかい声で謝意を伝える彼女、また頼ってといざなう彼女、自分の些細な言葉に慌てた顔をする彼女、照れた小声で囁く彼女。
こちらの表情こそさして動かさなかったものの、その豊かに移り変わるかんばせを、思考停止したまなざしで茫と眺める。
ゆえに、どうにか絞り出した相槌は、動揺を隠せていない露骨な声音。
それでようやく我を取り戻すが、自分自身への気まずさに目を逸らし、埃の片手でそれとなく口元を隠しながら思案する。
結局考えをまとめきれないまま、そしてユナから顔を逸らしたまま、不意に口から転がり出たのは、純粋な誘いの言葉だ。
星守として彼女を味方にしようとしているだけだ、という数秒前まであったはずの動機は、しかしどうしてか、己のなかで今や弱々しい。それがなぜなのかは、よくわかっていない。
わかっていないまま、誤魔化すようにぽつりぽつりと言葉を紡ぎ、最後を言い含めるときになってようやく、彼女の顔に目を戻して。)
……そっちも、何かあれば気軽に呼んでくれたらいい。回復薬作るのに、材料とか必要だったりするんだろ。
かさばるものを持つくらいはしてやれるし、危ない場所なら先導や囮役も引き受ける。……予定、だいたいは空いてるから。
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