光梨 2022-03-09 19:01:29 |
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「保釈金など彼女が身を呈してくれた事に比べれば大したことではないのだが…フッ、律儀なものだな」
下げていた頭を上げて彼を見ると彼まで申し訳なさそうに頭を下げさせてしまっていてなんとも散々な礼の食事になってしまったなと密かに肩を落としたものの今回は礼に含まない。そう告げた自分の言葉で払拭し、なんとか気持ちを切り替えると自分の有罪が決定的になりかけた際に法廷侮辱罪を受けてまで異議を唱え、審理の継続を測ってくれた彼女を思い浮かべた。彼女もまた恩人であるのだが、わざわざ礼を用意してくれるなど貰いすぎているなと感じ肩を竦めて軽く笑むと食事を促されて「ああ。」と答えて頷き食事を再開した。それに、幸せだという大袈裟すぎる言葉を軽々しく口にする男ではないことはわかっているから本当に気分を害しているというわけではないようだ。
様々な思考がそれぞれの胸の内で飛び交った食事は危うかったものの終了し、精算もカードで済ませて車まで戻ってくると運転席に乗り込んで
「今日はいきなり付き合わせてしまってすまなかったな。キミの家まで送るから道案内を頼むぞ」
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