光梨 2022-03-09 19:01:29 |
通報 |
>53
「‥‥ほんとだよなあ。今言ったこと全部そっくりそのままぼく自身に返ってきてる。せっかく御剣がおもてなししてくれてるのに失礼なことばっかり。厚意を無下にするような真似してごめん。
真宵ちゃんもきみに感謝してたぞ。ほら、保釈金払ってくれたろ。彼女からのお礼の品を預かってるから帰りに受け取ってほしいな」
辛そうに視線をそらす様子が目に入ってやっとまたもや彼を傷付ける言動をとってしまったことに気付きすっかり青ざめ。自分の思慮の浅さに自分で驚き呆れつつ反省しながら、深く座礼して謝意を表し。体勢は戻したものの神妙な態度を保ったままで相棒である少女の話題が続いているうちにと車の中で伝えようとした用件を付け加え。
もとより恋心が芽生えてから長年ずっと気持ちを打ち明けるつもりはなく、彼と結ばれる未来を微塵も夢見たことなどなかった上にお互い二十代も半ばに近い年齢のためか想像していたよりも交際相手がいる予感にも寂しくなるどころかきっと幸せであろうと喜ばしいような気分が上回り。もし異性の幼馴染みであれば、自分に恋愛感情がなくとも人生が進むにつれいずれお互い距離を大きくとらなくてはならなくなることを考えるとむしろ同性の友人であることを幸運に感じていたぐらいだが、このように悲しい思いをさせ続ける今のままでは自分や矢張ですら友として大切に扱ってくれるような懐がかなり深い御剣相手にすら早晩距離を置かれるなと内省して態度を改め真面目な面持ちで向き直り
「顔上げてくれよ。無礼なのはぼくの方なんだから。きみに笑ってほしくて色々冗談言ってみたけどやりかたがいけなかったみたい。何事もないならいいんだ。ぼく、きみのおかげで今日とっても幸せだよ。
お腹空いてるだろうに手止めちゃってごめん。食事中にふざけたりして行儀悪かったね。さあ食べよう」
>53
トピック検索 |