光梨 2022-03-09 19:01:29 |
通報 |
「ム、相談…?いや、今のところ私にキミへの相談事はないが……」
狩魔家へ連れられてから叩き込まれたテーブルマナー、手元がおぼつかず何度もナイフやフォークを落として怒られたものだが今となっては何処へ行っても恥ずかしくないほどまで熟練度が上がった。しかし、その手をじっと彼が見つめている気がして、それだけなのに少しだけ緊張してしまい久しく手元が狂ってしまいそうだ。こんなことも初めてだ。そんなことを思っていると突拍子もないヤケに確信を持ったような発言が飛んできたのでまたもや驚いて手を止めると、それに答えつつそのような事を思わせてしまった発言があっただろうかと頭を捻る。そういえば…この発言の少し前にデザートの事を言っていたな…それに私もそのような発言をした。デザートとは食後に摂る物、つまり食事終了間際…ということはあの発言により私は食事を早く済ませようと急かしてしまった事になるではないか!こうなってしまうと誘ったのは食事メインではなく、他ならぬ話しがあると推測されてもおかしくはない。私としたことが失言だ。そのことに気がつくと手に取っていたものを置いて手を膝に置くと、一度だけ視線を落とし自分の失態を恥じた後背筋を伸ばして彼を真っ直ぐ見ると
「す、すまない。そのようなつもりはなかったのだ…その……キミに施したもてなしが全て口に合うか、そして楽しんでもらいたい一心での発言だったのだが勘違いさせてしまうような発言をしてしまった。
今回の食事に他意はなく本当に私の感謝の気持ちを表したものでしかない、これは信じて欲しい」
トピック検索 |