三丁目のミケネコさん 2022-02-21 22:59:24 |
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エリオットくんは僕の背に腕を回し、手を添えて、大衆の注目を集める様に気迫に満ちた立ち振る舞いと声で高らかと僕を称賛した。スラスラと出てくる褒めの言葉はまぁ、貴族として必要なスキルで、当たり前として一旦置いて、論点が少しズレている気がする。だけれどそれでも周りに気づかせずに上手く話を進め、望む結果になる様流していく。どうやら彼は思っていた以上に敵に回したら厄介な人材だ。その年で人の心理を理解していて、上手く利用し、いとも簡単に利用しその場を丸く納める事が出来るほどのカリスマ性を持ち合わせている。全校までとは行かないが、教員含め大半以上を占めて居るのは確か....まさに悪魔的天才と呼べるだろう。これ程出来のいい人間、見た事がない、それとも僕が暫く他者との交流を途絶えたせいで知らないだけか?ともあれ、組み分け帽子は正しい、この男は偉大になれる。絶対になれる、但し道を踏み外さない限りはな。是非とも友人のひとりに欲しい素晴らしい逸材だ、この男の価値はそこら辺とは比べものにならないほどある。これ程に、神と言う名の悪魔に愛され恵まれて居るのだから、外側のステータス、貴族出生の事なんざ霞んでオマケの様にしか見えない。中身が余りにも眩しい、まるで宝石の原石のようだ。質がいい程、利用しにくいのは事実、上手く隙を探さねば。
(最初は好奇心で八割、彼と友人になるのを二割で組み分け帽子を脅したけど...これは...予想以上に良い収穫だな。)
エリオットくんの演説は終わり、たちまちと周りは批判の声から僕への拍手へと変わって行った。特にスリザリン生からは歓迎の声が高い、まぁ僕が入る事になった寮なんだから当然か。...流石はレイブンクロー、ちゃんと流されないものが多い。そりゃそうだろう、モラル的に考えたりしたら、ある意味入学式をめちゃくちゃにした僕が悪いのだから。だが果たしていつまで自身の観点に自信を持てるのだろうか。我が強い少数派以外なら、多数派に抑圧され易いし、エリオットくんの演説で流せなくても、別の人が代わりに流してくれるだろう、まるで宗教の布教のようにね。
「あはー!またまた助けて貰っちゃったね!そんなに褒められると、なーんか照れちゃうなぁー!」
僕は歓声を浴びながら、間抜け面で笑いつつ、照れる仕草を出す為に頬を掻いて、差し出された手を両手で握り
「うん!えへへ、ありがとう!全然こちらこそだよぉ!部屋決めも、同じ部屋になれると良いなぁー!」
僕が同じ部屋がいいと言った途端、流されていない教師が顔を顰めこちらを見てきたのがよく見える、特にエクスペリアームスを掛けてきた教師からには。だがまぁ、さっきしでかした事もあるんだ、もう一度起こるかもしれないって思われても仕方ないだろうな。
(これ程大きい騒動起こしちゃったんだから、暫くは相当大人しくしとかないと目をつけられたりして、ダメかな...)
「...あれー?せんせぇ達、お顔怖いですねぇー?折角のおめでたい入学式なんですし、他の新入生の前でもあるんですしさ!そんな怖い顔よりほら、スマイルスマイル!!ね!」
僕が自分の両頬に両手の人差し指に当てて思いっきり笑ってそう指摘すると、顔を顰めていた教師達も段々引き攣った笑顔になって行った。
「ねね、エリオットくん!寮の部屋決めってどうやって決めるのかなぁ…くじ引き?」
僕はそう、引き攣った笑顔の教師達を構わずにエリオットくんの方に振り向き、首を傾げて聞いてみて
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