三丁目のミケネコさん 2022-02-21 22:59:24 |
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「敷地が広いからな、原則立ち入り禁止らしいが禁じられた森というものまである。悪戯好きなゴーストもいるから、教室を覚えるまでは苦労するらしい」
というのは、兄の受け売りである。兄が入学した初年度の長期休暇、まだオレは幼かったが、帰ってきた兄が苦笑してボヤいていたのを覚えていた。ホグワーツには様々なゴーストや喋る絵画までおり、魔法史に至ってはゴーストが授業をするのだとか。魔法史はとにかくつまらないというのも兄の愚痴だが、オレにとっては密かに気になっている科目の一つである。
「そうだな、今は9月だから直近の休暇はクリスマス休暇か。まぁ大して長い時間でもないさ。…家族が心配ならばふくろう便を使うといい、文通は自由だからな」
(家族と離れるのが寂しいのか?当然だろうな、今まで会えていた者と暫く顔を合わせることができなくなれば誰でも思うところはある)
組み分けの儀式を行うのが本日の9月1日、クリスマスは12月だから思っているよりはすぐに帰れるはずだ。その分、ここからの期間は色々とやらなければならないことが山積みとなるのだが。どことなくセシルの横顔が寂しげに見えたので、補足でふくろう便の存在を教えてみる。彼の事情は知らないが、多くの子供は両親や兄弟と離れ離れになる状況にはなんらかの不安を抱きやすい。セシルもそのクチだろうと推測して、迫るホグワーツにオレも目をやり。
「着いたな、降りるぞ。忘れ物はするなよ」
やがて列車がホグズミード駅に到着すれば、すくっと立ち上がって。ワラワラと乗降口に向かう生徒の群れが個室の扉から見えるので、その波が落ち着いたら出ようと考える。
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