三丁目のミケネコさん 2022-02-21 22:59:24 |
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「逃げる、というと姿現しが一番だな。相当訓練しないと身体がバラバラになるからそこが難点だが。これに比べて手軽なのだと、限定的だがアセンディオとかアクシオで箒を呼ぶとかか。箒以外にも遠くの物を引き寄せたりと便利だから、アクシオは最低限覚えていきたいな」
確かに、戦闘は攻撃と防御の二択ではない。途中で逃走する、そもそも戦闘に持ち込ませないというのも立派な作戦である。逃げると聞いてまず思い浮かんだのは、移動全般に便利な姿現しだ。だがあれは、相当な訓練を積まないと身体の出現位置がずれてバラバラになる危険性が高い。勿論使いこなせればこれ以上に便利な魔法もそうないだろうが、上級生でも中々手が出しづらいことを考えると利便性は劣るものの比較的習得難度が低い呪文か。使い道が限定的だが、前が崖で逃げ道がない時などはアセンディオで上昇するのも手だろう。あとはアクシオで箒を呼べば、手元に来るまでのタイムラグはあれど安全に逃げることが出来るかもしれない。それ以外にも対象を手元に呼び寄せるという呪文は便利なので、是非とも習得しておきたい呪文ランキングではベスト3には入るんじゃないだろうか。ただ、これもこれで中々使いこなすのが難しいと聞く。相手を妨害する魔法は沢山あるのに、意外と逃走全振りの魔法は思いつかないな。
「ニフラー!そんなに焦らなくとも大丈夫だから!ほら、パフスケインは落ち着いてるみたいだぞ?」
グイグイと袖を引っ張ってくるニフラーをなんとか落ち着かせようと撫でながら、パフスケインが大人しくセシルの手に収まっている様子を見せて。すると、そのパフスケインが振り向いたかと思えばニフラーに対して鳴いたではないか。鳴き声も可愛い、と少し他人事のように考えていると、ニフラーは鳴き止んだものの小刻みに震えていた。
「まぁ、今無理に慣れさせる必要もないか。……ところで、シャンデリアって結構な音が響いたよな」
ニフラーの頭をぽふぽふと撫でながら、ふと思い至れば粉々のシャンデリアに目を移し。廊下に落ちているガラスの破片と、折れ曲がったシャンデリアの支柱がそれなりの衝撃だったと雄弁に物語っている。
「これ、見回りの教員とか……来たりしないか?」
あの騒音なら、多少は離れた場所にいようが聞こえるだろう。耳が良い者なら遠い場所でも聞きつけてくるかもしれない。なんとなくの嫌な予感に顔色を悪くすれば、セシルを見て。
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