ホグワーツにて、貴方と共に。(〆）

「飽きられたらそれで終わりだろう、永遠に続くものなんてないしな。ただでさえ情報技術は発展して、新聞はあまり読まれなくなってるんだ、今は雑誌が人気のようだし。まぁ、奴らの考えてる事はオレにはわからないな」
何事も栄枯盛衰、新聞に限らず物質、概念、様々なものにそれは適用される。流行なんてものはその最もたる例だろう。魔法界にも流行の波はあり、日々発展していっている。マグル界はどうかはしらないが、そちらもそちらでまた違う方向性で発展をしていってるのだろう、つまるところ流行り廃りはどうしても産まれてくるもので、そこに乗る方法が善悪問わずともやがては取り残されるのである。セントリックは新聞を購読しているが、他の貴族の家はより多くの情報を仕入れることが出来る雑誌に乗り換えているところも多く、新聞は徐々に数を減らしている。この時代の波に新聞社がどう立ち向かっていくかはわからないが、企業なのだからまた別の道も考えているのだろうな。とりあえず、オレの家に関してないことないことを書くのさえやめてくれればまだ許容できるのだが。
「どれが侮辱にあたるかは言い出したらキリがないが、生活様式や種族まで違う相手にはより気を使わないといけないのは確かだな。下手に手を出して種族同士の争いにまで発展したらオレたちには手がつけられなくなるし。まだ入学したばかりなのに、早く色々と学んで大人になりたいと思う、気が早いが」
相互理解が難しいケースは多い、だって人間同士でさえそれが成り立たないことはよくあるのだから。身近なもので言えば、魔法族とマグルとかか。それが別種族間になると余計に難易度が上がるのは自明の理だろう。規則を破って侵入する側がなにを言ってるんだというのは置いておいて、大事になるのだけは阻止しないといけない。そのためには知識が必要だ、早く学んで吸収して大人になりたい。
「ど、どうどうニフラー、大丈夫だから……な？」
暗さも相俟って幽鬼のような佇まいとなってしまっているセシルに警戒の声を出すニフラーを宥めながら、パフスケインが下手に怖がらないように努めて優しい声を出して。どうしてニフラーはこんなに怖がるのかと思ったが、言葉が通じないのだったら仕方ないか。しかしパフスケインはきっと大丈夫なはず、とセシルの元へ向かうパフスケインとそれにすがろうとするニフラーを抑えつつ、期待を込めて成行きを見守っていると。
「お、おおぉ！やったなセシル！パフスケインはちゃんと安全だってわかってるみたいだな！！ほらニフラー、キミのお友達は懐いているみたいだぞ？」
パフスケインがセシルに怯えも何も見せていない様子にオレは幾分か安堵した。モフモフ2匹の独り占めは嬉しいところだが、少し罪悪感もあったので。パフスケインまでダメだったらどうしようとどこか不安に思ってたのは杞憂だったわけだ、オレは片手で小さくガッツポーズすると我が事のように喜び。ついでにこの流れでニフラーもセシルが大丈夫だということをわかってくれないかと期待して、腕の中にいる黒いふさふさに目を落とし。