三丁目のミケネコさん 2022-02-21 22:59:24 |
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「まぁ一昔前は訴えられたりもしたんだろうが、今は多少大人しくなったから、日和見というかあまり揉め事にしたくない奴らも多いんだろう。家が潰れるほどの大きなデマを拡散されるならともかく、せいぜいが不確実な噂話ばかりだしな。それに、相応にスポンサーもいるんだ、そういうスポンサーに対しては有利な記事を書いたりして、後ろ盾もつけている。悔しいが賢いやり口だよ」
一大新聞社とはいえ、今は様々な他社新聞も広く出回っているし、雑誌だって多い。一強でなくなったところがいい意味でも悪い意味でも抑止となっているのだろう。それに、古くから存在するだけあって有力家系のスポンサーも多いんだ、だから争ったら面倒だし、蚊に刺される程度の被害なら無視しようという者も多くいるんだと思う。それに悪いことばかりじゃないしな、デマだけではなく印象を良くする記事も載せるから、叩くに叩けない。これは新聞という大衆に出来事を知らせるための道具にビジネスが絡むため、色々と難しいところだ。
「ケンタウロスは誇り高い種族だから、バッタリ出くわすと危ないな。侮辱しなければ大丈夫というが、ただでさえ向こうに地の利があるからどう転ぶかわからないし。いずれは行きたいが、最低でも攻撃と防御を問題なく両立できるようになってからだな。あと、魔法生物飼育学も本格的に勉強した方がいいかもしれない。何年かかるのか…」
人語を用いるが、ケンタウロスという種族は人間とあまり友好的ではないと聞く。だから、もし出会しても穏便に済むかはわからないし見逃してもらえたら僥倖だろうな。まぁ、こちら側が勝手に縄張りに侵入する形になるのだろうから、向こうが友好的に振舞ってくれないのも当然ではある。中々難しいところだ、攻撃魔法と防御魔法を扱えるようになるのは勿論のこと、生物の生態をよく知るために魔法生物飼育学の講義を取ることは必須かもしれない。……軽い気持ちで忍び込みたいと考えていたが、よくよく深堀していくと事前準備がかなり大変だ。
「そ、そのうち慣れてくれるさ。だって、危害を加えてるわけじゃないんだし…。ほらニフラー、あのお兄さんは別に怖くないぞ?オレの友達だぞー…?」
オレに顔が怖いと言われて明らかにショックを受けているセシルに罪悪感がわいて、下手くそなフォローをしてみるも、確実に慣れてくれるという根拠は無いのでかなりのらりくらりとした言葉になってしまった。こちらに擦り寄ってくるニフラーは可愛いことこの上なく、これが胸キュンというやつか…と思いながら、少しでもニフラーの中での印象を和らげるために、幼子に話すような猫撫で声でニフラーに語りかけてみる。
「ん?パ、パフスケイン…!!これはまたモフモフ……じゃなくて、キミのお友達か?可愛い……ッ!」
ニフラーがなにやらゴソゴソとして取り出したのは、ケサランパサランの如きフワフワなフォルムを持つパフスケインだった。待て、待て、なんだこの可愛いと可愛いの暴力は!?いいのか、こんな天国を味わってしまってもいいのか…!!可愛さに悶絶しかけながら、オレは興奮を冷まそうとセシルを見ればセシルは交互に動物たちとオレを見ていた。早速オレの言ったことを守ってくれているみたいだが、それもそれで少し挙動不審かもしれない…。
「温厚なパフスケインなら、大丈夫じゃないか?ほらパフスケイン、あっちのお兄さんもキミのことが好きみたいなんだ。オレ共々仲良くしてくれるか?」
パフスケインは、滅多に怒ったり怖がったりしない人懐こさを持っている。きっと、この愛らしい毛玉ならセシルにも懐くはずだと、セシルの方に意識を誘導してみて。
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