三丁目のミケネコさん 2022-02-21 22:59:24 |
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「あそこはそういう悪辣さがウリらしいからな。大衆の目を集めるには批判が一番効く、勿論まともな記事もちゃんとあるがそういうのほどすぐに読み飽きられて忘れ去られるんだ。スリザリンなら、あそこのお世話になった奴はそこそこいるんじゃないか?なんせ家系的にも優れている者が多いからな、的になりやすい」
ある種どうしようもない部分はあるのだろうが、新聞はやはり人目を惹くようなインパクトがなければ定期購読はしてもらいがたいようだ。それでも監査や指導が入って随分とマシにはなったが、ちらほらと悪意ある記事は目につく。記者本人の問題も大きいだろうが、金持ちの汚職ネタは特にウケやすいんだ。うちのパーティに招待された奴らも時々愚痴っていた、また酷い記事を書かれたってな。そういうことだから、他の寮と較べて比較的家柄がいい者が集まるスリザリンでは、多かれ少なかれ関わりがある者が多いだろう、被害者ではなく記者の子も探せばいるだろうし。
「いや、本当にいるのかどうかはわからないが、僅かに目撃証言とかがあるみたいだぞ。仮にいたとしても、かなり深くまで潜らないと出会えないだろうな。でも迂闊に進むと迷うし、ケンタウロスの縄張りに踏み込んで敵認定されるとリスクがあるが…。一、二年生のうちはそこまで危険じゃない場所までで留めておいた方がいいな。深部へは四年生か五年生あたりになったからが妥当か…」
忍び込んだとしても帰れなくなるほどの深部まで行くつもりはなかったが、そういう危険な場所ほど貴重なものがあると相場が決まっている。…いや、なにも一年生の間に行かなければならないわけではないんだ、五年生の魔法を使い慣れた頃合に行ったっていいわけだ。その時はセシルも誘おう。一人より二人の方がきっと安全だ。
「あ、ニフラー降りてきた。かわ……って、いや、なんでオレには普通なのにニフラーを見た途端怖くなるんだ!?違法実験の被験者を見繕う科学者みたいな顔をしてるぞ!?」
まだ威嚇はしていれど腕まで降りてきたニフラーの可愛さに緩めた口元が一気に引き攣る。オレに話している時はなんともないのに、ニフラーに目を移せば恐ろしいものになるセシルの表情に、失礼にも怖い怖いと連呼すればニフラーを抱きしめて。
「よ、よし…ニフラーが慣れるまではオレが抱えておくから、セシルはその……なるべくオレの顔を見ていてくれ。あ、変な意味じゃないぞ!?あまりニフラーを意識しなければ、ニフラーを怖がらせる要素がなくなって慣れてくれるかもしれないからな!」
もふもふの手触りは極上で、セシルがこれを味わえないのは勿体ない。だが、こちらには悪意が1ミリも無いとはいえ怖がっている動物を荒治療で慣れさせるのも可哀想だから、とりあえずセシルという存在に慣れてもらうしかないだろう。悪いやつじゃないんだ、動物はその辺を見る目は確かだし、すぐにわかってくれるはず。その間はオレがニフラーを独り占めしてしまうことになるが…うん、セシルには悪いけれどオレは少し嬉しかったりする。なんせニフラーを初めて抱いたからな。
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