三丁目のミケネコさん 2022-02-21 22:59:24 |
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「へぇ…使えるものはとことんまで使いきる、オレにはない価値観だったな。服にこだわりはないからそこまででもないが、ペンとかは折れたりすればすぐに買い替えていた。確かにすぐにそうしているのは勿体なかったかもな、勉強になるよ。……ところで、聞いてもいいのかわからないが…セシルはマグル出身なのか?悪く捉えないでくれ、魔法を使えるものがあまりいないと言っていたから気になっただけだ」
お家柄、金銭や物品に困ったことのないオレにはセシルの価値観はかなり新鮮だった。今までは特に気にも留めていなかったが、彼の話を聞いていれば確かに勿体ないことをしていたかもと思えてくる。そして、話の中でふと引っ掛かった、魔法が使える者が周りにロクにいない、という言葉に反応すれば首を傾げて問い掛け。その後すぐに言い訳のように弁解してみせたのは、出自の話題はデリケートなものだと今になって思い直したためで。オレ自身はマグル差別など馬鹿馬鹿しいと思っていても、オレを中心に世界が回っているわけでもない。そもそもマグルだの純血だの以前に訳ありな人間だってきっと想像以上に存在するわけで、あまり口に出すべきことではなかったのかもしれないと反省し。もう一つ弁解を付け足すが、本当に他意はなく単純に、友人であるセシルのことを知りたかっただけだ。
「そういえば、図書館には……なんだったか、閲覧禁止の蔵書棚があるらしいぞ。上級生かつ教師の許可証がなければ入れないスペースなのだとか。手紙の解読は勿論だが、そっちにも少し興味があるんだ」
これも──というか、オレが持つホグワーツについての知識はほとんどが兄様から聞いたものだ。なので漠然とそういう場所や物があるということはわかっていても、詳細には詳しくない。閲覧禁止、と言うからには知識として身に付けるには危険な本ばかりが眠っているのだろうというのは想像に難くないが、それならばむしろ知りたいと思うのも人間の性というものだ。そっちにも入れそうなら是非とも覗いてみたいと思う。
「シャンデリア?……本当だな、少し魔法を当てたら落っこちてきそうだな」
セシルに倣って杖先の光を上に向ければ、確かに錆び気味のシャンデリアが吊り下がっていた。ホグワーツといえば世界一安全と評される場所だ、なので安全性にはこういう設置品も含めて気を配っているだろうが、該当のシャンデリアは少し攻撃魔法を当てれば落ちてくるかもしれないような危うさがある。
「なんて、流石に本当に落ちてくるわけないよな。ははは」
こういうのをなんて言ったか。そう、フラグだフラグ、フラグを立てるというのだったか。とはいえまさか次の瞬間あのシャンデリアが本当に落ちてくるなんてあるはずないだろうと、オレにしてはネガティブすぎたかと笑い。
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