三丁目のミケネコさん 2022-02-21 22:59:24 |
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「ダイアゴン横丁ならもっと品揃えは豊富だろうが、まぁ…女の子が好むようなものがあるかは疑問だな。カエルチョコは……どうだろうな、男でも苦手な奴はいるんだ、女の子にはあまり喜ばれないかもな」
男兄弟で母もオレの幼少期に亡くなっており、男性としか関わってこなかったため、生憎とオレは女性の好みには詳しくなかった。精々、虫系は避けた方が良い程度の知識しかないのでこれに関しては上手くアドバイスはできない。ホグズミードに行けない今、一番品揃えが豊富なのは間違いなくダイアゴン横丁であろう。オレは覗いたことはないが、あそこなら雑貨屋や洋服屋もあったはずだ、好みに沿うものもあるかもしれない。問題は行くタイミングだが。
「ニフラー!オレも好きなんだ、あのなんとも言えない顔に癒されるよな。毛の触り心地も絶対いい、一度抱いてみたいと思っていたんだよ。授業用ならピクシーとかかもしれないが、なんにせよ気になるよな」
ニフラーという言葉にパァッと表情を明るくさせれば、うんうんと何度も頷いて熱が篭った同意を返して。真ん丸なつぶらな瞳と、少しおとぼけたような愛らしい顔。危険性は少なく、光り物を好むという習性も面白い魔法生物だ。いつか実物を見てみたいと強く思っていた内の一匹でもある。抱き枕にすれば気持ちが良さそうだ、そのまま寝てしまうと部屋から金属類が綺麗さっぱり姿を消してしまうだろうが。
「オレもなにか光り物を持っていきたいが、手持ちにないな…。もし二フラーに会えたら、セシルのそのボタンで釣ってもらうか。よし、行くぞ!」
セシルが裁縫キットから綺麗なボタンを持ち出すのを見て、オレも手近になにかないかと軽く漁ったがなにも見つけられなかった。とはいえ、ニフラーが図鑑の説明と相違ない光り物好きならばボタンにも必ず食いつくはず。柄にもなく浮き立った気持ちで、しかし騒音で本当に面倒なことにはならないようにそっと扉を開けると、そこから顔を出してキョロキョロと周囲を見回し。次に杖を持った手を隙間から出せばルーモスを唱えてもう一度左右を見渡して。そして一度顔を引っ込めるとセシルを振り返り。
「手紙のこともあるし、念の為確認したが大丈夫そうだ。廊下には見回りどころか誰もいない。警戒しつつ、静かに行こう」
とひそひそ話せば、先に外に出てドアノブを握ったままセシルが出やすいように扉を開けて待ち。
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