三丁目のミケネコさん 2022-02-21 22:59:24 |
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「セシルも森に興味があるのか?なら、また今度一緒に行こう。流石に森の地図まではないが…。あと現時点でそれぐらいの魔法を使えるのは優秀な部類に入ると思うぞ、杖に遊ばれる奴が大半なのに」
生徒単独では立ち入り禁止の謎めいた森、それだけで惹かれる生徒は多いだろうと踏んでいたが、セシルも関心を持っているのは嬉しい事実だ。ただ、地図上の禁じられた森の箇所は丸ごとごっそりと虫食いになっていることから、兄様たちも行ったことはほとんどないのだろうと窺える。当然他に地図やそれに準ずる物もオレは持っていないので、危険が伴うことは必至だ。まぁそれは追追考えるとしよう。
「兄様はとても優秀なんだ、オレたちと同じ年齢の頃には既に豊富な呪文を扱えていたし、無言呪文だって幾つかできていた。監督生にもあっさりとなって、さらにはトップクラスに就くのが難しいと言われている、あの闇祓いとして活動している。すごいだろう?この地図は複雑な魔法を様々に組み合わせているらしいが、オレにも仕掛けはわからん」
(到底、オレなんかじゃ追いつけない存在だ。兄様がハッフルパフの監督生だったからってオレも父様に圧をかけられているが、監督生にすらなれるか現時点で怪しいのに。そりゃあ、こんな便利な地図だって作れるさ)
兄様のことを自慢すると誇らしい反面、見劣りする己に少し虚しくなる。だがそれを態度に出したところで良いことなど一つもない弱味なので、決して表に出すことはなく。地図一つとっても仕組みを解明できないオレは、兄様を知るハッフルパフ生から見たら雲泥の差の泥の方なのだろうなと推測するのは容易い事だ。
「…!」
(見張り、か?だったら室内にまでは踏み入ってこないだろうが…。いや、手紙の犯人が戻ってきた可能性もある。ほら、犯人は現場に戻ると言うんだ。なんにせよ、静かにしていれば大丈夫なはず…)
しんみりとした内心を頭の片隅でぼーっと感じていれば、突然セシルに口を塞がれて。ビクリとしつつもセシルの言葉にコクコクと小刻みに何度も頷けば、物音一つ立てないよう呼吸にすら気を配り。見張りかなにかだろうか、それとも手紙の犯人が現場に戻ってきたか?起きているとはいえまだ室内、万が一見られたところで大したことにはならないだろうが、少し緊張する。視線を扉に注ぎながら注意深く耳をすませ、外の者の動向に神経を張り巡らせて。
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