三丁目のミケネコさん 2022-02-21 22:59:24 |
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(うるさ……こんな時間に訪ねてくるなんて、非常識すぎるだろう……。ゴーストの悪戯か?)
断続的に続くノック音にぼんやりと意識が持ち上がる。しかし時間が時間なだけに半分以上は夢の中で、瞼も持ち上げられぬまま、布団を掴むと小さく唸りながら潜り込み。微睡みの中、セシルが起きて様子を見に行ってくれている気配がしたのでそれに甘んじつつ、再度意識を飛ばそうとした時に耳に届いたのは、セシルが驚いた声だった。
「!!」
彼の声は小さかったものの、なにかあったのだとオレの意識を叩き起すには十分で、何事かと跳ね起きれば、枕元の杖を即座に手に取り。そっと床に降りて、杖を構えながらゆっくりとセシルへ近づく。そして後ろからそっと彼の手元を覗き込むと、奇妙な手紙に気がついて。
「セシル、なんだその手紙は?……ラテン語、か?」
そっと小声で話し掛ければ、訝しげに眉を顰めて。便箋自体はシンプルだが、なにを象徴しているのかわからない奇妙な絵と、簡潔すぎるほどに書かれた文に疑問符を浮かべると、扉から顔を出して廊下を見渡し。こんな夜中に手紙を置きに来るなんて、普通じゃない。文を解読してはいないが、お子様のくだらない嫌がらせの類だろうと、真っ先に思い浮かんだ犯人候補の二人組に憤りを募らせる。
「ルーモス・マキシマ」
流石に深夜は暗い、闇に目が慣れていても見通すには限度がある。どこのどいつかは存じ上げないが、非常識な輩の面のひとつでも拝んでやりたいと、睡眠を邪魔された静かな怒りで杖を振るい、明るくなった廊下を見渡して。
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