ホグワーツにて、貴方と共に。(〆）

「うん、ありがとぉ。でも先に寝ててもいいからね？エリオットくんも疲れてるんじゃない？」
長旅なのは僕だけじゃないはず、疲れてるのはきっとエリオットくんも同じだと思う。それならば、わざわざ僕の準備で待たせるのは良くないだろう。無理しないでと伝えて僕は片付けに戻った。
(...筆箱よし、体操着よし、箒よし、明日の教科書よし！よし、これぐらいかな。明日の昼休み、お昼食べたら図書館にでも寄ろうかな、魔法界に関して、そして何より、エリオットくんの家庭、セントリック家についてなにか記録にないか探したい。マグル界に住んでいた弊害か、僕は今、魔法世界に余りにも無知だ、このままじゃ何れ支障が出るかもしれない。そして何より、エリオットくんはセントリック家の出身だから尚更だ。まぁ新聞とか噂とか、表の情報と評判だけでも聞いてればきっと暫くは大丈夫だろう。別に自分家じゃないし、興味は無いけど、一応ね。貴族を知ることは悪いところじゃないはずだ、探して何かあった時の対策とか思いつくかもしれないな）
そろそろ寝ようかなと思っていたらエリオットくんに辞典に挟んであった家族写真を拾われ
「っ！！？.....あ...うん...ありがとう」
手に持つ写真を見れば、顔色がみるみると青ざめ、
「ああ...家族写真だよ。」
見られた！！やばい！！見られた！！僕は必死に内心の混乱を落ち着かせた。どれだけ規制されてるとはいえ、1度世間に出回った情報は無いことにはならない。母さんや父さんの顔を覚えている人だっているはずだよ、ならば下手に否定はしては駄目だ。エリオットくんは一体何処まで気づいてる...?どこまで知ってる...?一体、どこまで？....駄目だ。....分からない。今これ以上考えても仕方がない。今はせめて、これ以上に情報は手に入れられないようにし、ヘラりとまた笑顔で誤魔化して。
「あははっ....拾ってくれてありがとう。たすかったよ。大事な、大事な写真なんだ。」
大事だ、とても大事。家族がちゃんと全員揃ってる写真なんか滅多にないからね。もしかしてこれが最後の1枚だという可能性さえも有り得なくはない。見られるのは嫌だが、拾ってくれた善意に感謝を述べて、写真を少し震えた手で受け取り