三丁目のミケネコさん 2022-02-21 22:59:24 |
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「ああ、君の準備が終わるまでのんびり待っているよ。急がなくていいからな」
組み分けの儀式の時点で疲れから具合が悪そうだったんだ、あんなことがあれば尚更だろう。尤も、オレと違いセシルはあんな馬鹿な奴とも友人になりたがるほどの前向きさを持っているのだが。オレは、次来られたらどう切り抜けてあわよくば叩き潰そうか考えていたというのに。セシルの言った通り、奴らはそれこそ明日明後日にでもまた来るだろう、不幸なことに寮が同じなせいで接する機会も段違いに多いのも悩みどころだ。
(家柄を利用したところで引くような奴らでもないのがまた面倒だ。……そもそも、ひけらかすこと自体好きじゃないからそれはそれでいいんだが。ああクソ、せめて寮が別だったら授業では関わらなくてよかったかもしれないのに。……ん?)
と、内心でどうにもならない不服を並べ立てながら明日の準備をしているセシルをぼんやりと眺めていれば、彼の本からヒラヒラとなにかが落ちた。どうやらセシルはそれが落ちたことに気がついていないようだ。
(紙切れ、か?踏んでシワになっても嫌だろう、拾うか)
そう考えると立ち上がり、セシルの側まで歩いていけばその紙切れを拾い。何気なく目を落として気がついたが、どうやら写真のようだった。数人で寄り集まった様子で撮影されていることから、おそらく家族写真だと推測できる。
(これは、家族写真だろうか。今よりもどこか幼い見た目だが、この子がセシルか?そういえば、家族構成もなにも聞いていなかったな。盗み見てしまったようで悪い気もするが、落ちていたのだから仕方がない)
「セシル、写真が落ちたぞ。ここに写っているのが君の御家族か?」
そこに写る一家をまじまじと眺めた後に、セシルへと声をかけてピラリと写真を差し出し。
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