三丁目のミケネコさん 2022-02-21 22:59:24 |
通報 |
「ああ全くだ。一体なんなんだ、あいつらは。まぁここで引くだけの脳があって良かったが。オレらはなにもしてないのに、喧嘩両成敗なんてごめんだからな」
化けの皮が剥がれた……というほど皮を被れていなかったが、一転してブライアンに乱暴な物言いをしながらドタバタと去っていく彼らを見送れば、セシルの苦笑に対して疲れを滲ませながら呟いて。てっきりブライアンの方が立場が上なのかと思えば、怒鳴られ引っ張られて挙句に謝罪までして逃げていった姿から、どちらかと言えばブライアンの方がマシューのお供のように見えた。というより、一番ブライアンから金を巻き上げてそうなのはマシューだろう。人騒がせな二人組がいなくなったので周囲の人たちも疎らに解散していく、教員が来る気配も無さそうなので、早々に罰せられる羽目にならなかったことだけが不幸中の幸いか。
「セシル、君は随分と恨まれたみたいだな?スリザリンは結束が固くなる傾向にあると聞いたが、この分だと今後も奴らには絡まれ続けそうだ。逆恨みもいいところだぞ、全く」
秘密を暴くとまで豪語したマシューは、並々ならぬ憎悪をセシルへと秘めていることは誰にだってわかるだろう。一体なにが彼をそこまで突き動かすのかは知らないが、わざわざ不利な状況で冤罪を被せようとまでしてきた奴らだ、縁を切りたくとも切れないだろうな。恨まれているといえばオレもだが、ブライアンはマシューよりも頭が弱そうだ、面倒この上ないが都度返り討ちにすることはそう難しくないはずだろう。問題は、彼らが計画的に犯行を練ってきた場合だが、その時はなんとか切り抜ける他ない。
「おつかれセシル、オレたちも部屋に戻ろうか。湯冷めして肌寒いし、とにかく無駄な体力を使わされた」
ポンポンとセシルの背中を軽く叩いて、厄介な奴に粘着された彼を労えば、手で隠しつつも小さく欠伸をして。すぐに部屋に戻るつもりだったから羽織るものも持っておらず、寒さに肩をすくめると薄い生地の越しに二の腕を自ら摩って、僅かに水気を残してしっとりとする髪をかき上げると、セシルを待ち。
トピック検索 |