三丁目のミケネコさん 2022-02-21 22:59:24 |
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「は?」
(なんなんだこいつは。鶏だとは思っていたが、ない頭まで茹だったのか)
オレに驚いただけで転倒する彼を馬鹿だとは思いつつも、手ぐらいは貸してやるかと差し伸べようとすれば途端に浴びせられる罵声。それにピシッと固まると、責任転嫁をする醜さに口元がヒクッと引きつって低い声で威圧し。
「いやデブ、君が一人でビクついて、一人で転んだんだろ?なぁセシル、これがカツアゲというやつか?」
『ブライアンだ!!デブじゃねぇ!!』
大袈裟に足首を労る姿に、まぁあんな派手な転び方をしたら捻っていてもおかしくはないと思いつつ。しかし、何故自業自得をオレのせいにしてくるのかが理解できず、もしや噂のカツアゲとやらをされるのかと思い至り。吹き出す声を聞いて目線を移せば腹を抱えてプルプルしているセシルがいたので、デブことブライアンを指差しながら問い掛け、さらりとデブ呼ばわりされたブライアンが顔を真っ赤にして速攻吠えてくるがシカトし。それにしても、今初めてこいつの名前を知ったが、オレの中で呼び名は定着しているのでまともに呼ぶことはないだろうな。
「フフッ…。失礼、折れてたら痛いということは今は痛くないんだな?よかったな!多分、その無駄について鎧のようになっている肉のおかげだぞ!」
セシルへの突っ込みでこれまた勝手に自爆したブライアンに、セシルに釣られて笑いそうになったので顔を背けて堪えつつ、すぐに向き直れば皮肉を込めたいい笑顔で嫌味百パーセントの褒め言葉を掛けてあげる。ちらほらと浴室にいた生徒たちが集まってきていて、こちらの騒動を見て笑っていたので、流石のブライアンもこれ以上下手に暴れられないだろうと予測をつければ、場を区切るために咳払いをし。このまま相手をしても無意味だと悟ったので、くるりと背を向けてセシルの方へ歩いていき。
「オレも今入浴を終えたんだ、一緒に部屋に戻らないか?湯冷めして風邪を引くなんてごめんだからな」
と、最初からブライアンがいなかったかのように切り替えれば、何事もないように話しかけて。
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