三丁目のミケネコさん 2022-02-21 22:59:24 |
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そのまま飲むよりは砂糖を入れた方がマシなだけだな。なんにせよ、飲み慣れた紅茶の方がずっと美味しい。ポリジュース薬は生徒が作るのは禁止されているみたいだから、飲む機会はないだろうな。面白い効果を持っているから、作る奴はいるだろうが」
確かに、あの時は味を変えるのに必死で分量関係なく砂糖を投入したため、口内に残りすぎて砂利を食べているような食感になっていた。コーヒーほどではないが、愛飲している紅茶も眠気覚ましとして用いることはできるのでそっちでいいか。ポリジュース薬は生徒が製造することは禁止されているらしいが、他者に化けることに関しては折り紙付きだ、間違いなく作る生徒は出てくるのだろう。化けたい人間もいないので当面は作る予定はないが、必要ならばオレも間違いなく規則を破って作るだろうな。
「へぇ、ラグビーというものがあるのか。初めて聞いた、セシルは物知りだな。あぁ、チーム戦か、一対一ばかり考えていたが、確かにそれも面白そうだな。だがオレと組むならば、敗北は許されないぞ?」
マグルの世界はスポーツの種類も多種多様にあると聞いた、だが関わりが希薄なため実態は何一つと言っていいほど知らなかったが。どうやらセシルは、マグル界のことに関してはそれなりに精通しているようだ。オレにはない知識の深さに感心しつつ、チーム戦を持ち掛けられればニッと意地悪く笑い、冗談めかしたトーンで、オレと組む以上負けるという結果は認めないと強調して。セシルは賢いのであまり心配はしていないが、一戦敗北するだけでもセントリックの名は廃ってしまう。家名は強力な武器だが、お遊びをお遊びとして楽しみきれないのはデメリットか。上から目線でセシルにも大口を叩いてしまっているし、参加する時までに、上級生が習う範囲のものまで出来る限り身につけておこうと決めて。
「おぅ、……オレも少し整理したら行くか。今日一日で一ヶ月分ぐらい喋った程度にはオレも楽しかったよ」
ハグは挨拶だから慣れたものだが、セシルからしてくれるとは思わずに素っ頓狂な声を漏らす。彼の髪が頬を掠めて少し擽ったく、抱きしめ返そうか迷っていれば後頭部をふわりと撫でられた後に離れ、着替えを持って出ていった。
「オレなら大丈夫だって兄様は言っていたが、正直誰からも嫌われるか媚びられるかでつまらない生活を送る羽目になるんだろうなと期待していなかったから、今日はなにもかも予想外だったな」
(でも楽しかった。父様──には、報告したところで暢気だって叱咤されるだろうから言わないでおこう。兄様には、手紙を書いてみようか)
一人になった室内で独り言を呟きながら手際よく教材や私物を整頓すれば、バッグの底から片手サイズの写真立てを取り出す。そこに写っているのは兄様とオレだった。昨年、兄様が卒業して帰ってきた時に撮ったものだからオレの見た目も今と変わらない。それを見ながら、兄様に友達ができたことを伝える手紙を近いうちに書こうと決めれば、それを飾ることはせずにベットサイドテーブルの引き出しの中に入れて。
やがて準備を終えれば、オレも浴室に向かおうと着替えを持って部屋を出て。
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