三丁目のミケネコさん 2022-02-21 22:59:24 |
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「刺し合う!?誰がするかそんなこと!いやしかし、まさか隠し味は血だとか、そういうのがあるのか!?」
刺し合う、ホグワーツが燃える、料理とはそんなに危険な工程があるのかと無知故に盛大な勘違いをしかけているが、流石にそんなことにはならないだろうと常識的に思いつつも、己が知らないだけでバイオレンスなものだったのかという懸念も拭えず。
「そんな大変な目には会いたくないな…、料理の時はセシルに従うことにするよ。本当に、君に手取り足取り教えてもらわなければ恐ろしいことになりそうだ……」
ホグワーツ城そのものとまでは行かずとも、厨房を火の海にしたら減点どころでは済まないだろう。いや、減点云々以前にそのような目に合えば普通に死ぬリスクもある。想像しただけでもゾッとすれば、必ずセシルの言う通りにしようと考え。間違いなく、オレの独自判断よりは頼りになるだろうから。だって、自信満々だし……、きっと大丈夫……なはず。
「ダメ押しだが、なんと昼前に飛行訓練があるせいで疲れも溜まるぞ。そこに昼食、昼の陽気と来れば勤勉なハッフルパフだろうと、知識に貪欲なレイブンクローだろうと眠るだろうな。眠気覚ましの呪文でもあればいいんだが」
箒に乗って飛ぶとはいえ運動は運動、その疲労も重なったトリプルパンチは些か強烈で、ある意味仕組まれているとすら思えてくる。眠気覚ましの呪文、あるいは魔法薬でもあればいいが生憎とオレはその効能がある物を知らない。
「決闘クラブ!そうだ、オレもセシルを誘おうと思っていたんだ!ああ、行こう行こう、魔法の醍醐味は対人でもある。本当の実戦はごめんだが、決闘クラブのような模擬戦は常々やってみたいと思っていたんだよ。勿論呪文を習ってからだが!」
握られた手を両手で握り返せば、負けじと輝いた瞳で何度も頷いて。大多数の年頃な男子は、カッコイイ決闘や戦闘に多少なりとも憧れを抱くものだ。女子に言わせれば野蛮でも、オレにとっては浪漫がある。決闘クラブに関してはオレからセシルを誘おうと思っていたが、先に言われてしまった。
「なんだ、オレたちそこそこ気が合うな。オレから誘うつもりだったんだが先手を取られた。君と趣向が似ていて嬉しいよ、友達っていいものだな」
興味のある分野被りという共通点を新たに見つけられたことが嬉しくて、セシルの手をぎゅっと握ったまま年相応に笑いかけて。セシルが人生で初めてできた友達だが、案外とウマが合い居心地が良いものだとしみじみと噛み締めて。
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