三丁目のミケネコさん 2022-02-21 22:59:24 |
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「んー、あのブランケットの子と一緒なら、結構大変になる可能性ありそうだよねぇ...あんなに元気だと夜寝てくれないんじゃない?深夜にいきなり歌い出したりとか!」
有り得ない話じゃない...深夜にいきなりパーティ開き出す馬鹿が居るってわかったのは、孤児院内で経験済みだ。孤児院のお隣の屋敷では、夜中、特に週末の夜によく人が集まって打ち上げやらパーティやらを開く。そしてもう深夜上回ったと言うのにまだまだ大声で歌い出す馬鹿が何人もいた。近所迷惑だと孤児院側が注意しても、何も変わらなかったし警察沙汰になる事も何度かあった。今回そのブランケット坊ちゃんが少しでもそう言う人である可能性があるなら同室は避けれてラッキーだ。いいベッドは別にいらなくても安眠は欲しいからな。
「わかったぁ!!先輩おやすみなさーい!良い夢を!」
先輩に点数下げないよう注意され、了解したと元気よく返事し、先輩に手を振りおやすみの挨拶をした。
部屋に辿り着いて、鍵で開けてみたら、そこには思っていたより広く、アンティーク調の品々が並べられた僕たちの寝室が目に入る。
「予想はしてたけど、部屋の中まですっごい凝ってるねぇ...広いし...ホグワーツは一体一部屋に幾ら掛けたんだろ...凄いなぁ...」
予想は確かにしていた。だが、いざ目に入るとなると案外来るものがある。
(この部屋ひとつ長期的に借りるだけで、すぐ破産しそうだな...いやそもそも11歳の僕で、しかもまだ働きすら出来ない僕が、こんな凄い部屋を借りるとか、馬鹿げた発想だけど。)
アルバイトとしてすら雇ってくれない11歳と言う若すぎる年齢、誰にも頼れない現状にどうやって借りろと。そう内心自分にツッコミを入れれば、エリオットくんは僕にベッドは右左どっちがいいか聞いてきた。
「んー...そうだなぁ...迷うねぇ....そうだ!!迷った時はとりあえず右って言うし、右側で!」
考えるように顎に手を当てて少し唸ると、思いついたかのようにパァっと明るい笑顔で右側を指さして。まぁどっちを選んでも同じなんだから、別にどっちでも気にしないが、どっちでもいいとは言いたくない。
「お?見て!すごい!天窓があるよ!!ちょうどベッドとベッドの間につけてるのすっごい良いね!今日の月もとっても綺麗だなぁー...」
天窓は初めて見た。そこから覗く、深い深い藍色に染った空とポツポツと空に柄を描いていく星々、明るく優しく部屋の中に光を照らしてくる月に見蕩れて表情が柔らかくてなって。
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