三丁目のミケネコさん 2022-02-21 22:59:24 |
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お前ならできる、頑張ってこい。そう力強く言葉を掛けてくれた兄に大きく頷いて、ガラガラとカートを押しながら駅のホームへ赴く。闇払いである兄は多忙の中見送りに来てくれたが、やはり時間を無理に切り詰めて来てくれたようでキングスクロスの駅前で別れることとなった。マグルが多く行き交う中でちらほらと大荷物を乗せたカートを押す子供を見るが、大半は親や兄弟の付き添いがいる。だがオレの家は皆優秀であるが故に忙しく、唯一来てくれたのは久々に顔を見た兄のみだった。さて、ホグワーツに行くのならば必ずここからは9と4分の3番線に向かう必要がある、場所は当然知っていたので迷いなく足を進めていれば、突然響いた声にビクッと肩を跳ねさせて目を丸くし。
「ハンサム!?確かにそうだが!?」
反射的に出た言葉に一気に己にマグルたちの視線が集まるのを感じたため片手を口に当てて抑えつつ、目を見開いたまま周囲に視線をやれば、こちらに突進してくる勢いで少年が向かってきていた。負けず劣らず大荷物を積み込んだカートを押しているところを見るに、恐らく同じホグワーツ特急に向かうのだろうと当たりをつけて。
「どうした、随分と慌てているようだな?君もホグワーツに行くのだろう、そろそろ乗り込まなければいい席が取られてしまうぞ?」
列車の出発はもう30分を切っており、席の確保も考えれば乗り込むには良い頃合いだった。まさか目の前の調子が良い美男子が9と4分の3番線を見つけられていないとは知らずに、当たり前のように柱を指差して。
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