三丁目のミケネコさん 2022-02-21 22:59:24 |
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「まぁ、まともな編集者や記者もいるとはいえ、あそこの記事は鵜呑みにはしない方がいい。真実を書く分、フェイクが混ざると厄介なんだ」
(あいつらが、セントリック家当主はデス・イーターと繋がっているなんて書いたせいで、余計に悪い評判が増えたんだ。流石に父様が抗議したが、出回った記事を無かったことにはできないからとんだ風評被害を食らう羽目になった。クソ、憎々しい)
父様が死喰い人だなんて、そんなことがあるわけがないというのに。親類縁者もほとんどが魔法省に勤めている、そんな家をあんな風にこき下ろす新聞社の気が知れない。セントリックは敵が多いので、そいつらが金を出してわざわざ書かせたのかもしれないが。
「本当か?そのわりには、歯切れも悪かったが。実際、なにがあってもおかしくないからなぁ。部屋だって消えたり現れたりするらしいんだから、うっかりそんな部屋に入ると戻れなくなるかもな?」
カラスに驚いただけという見え見えの言い訳に、目を逸らされるもののニヤニヤと意地悪く覗き込もうとして。
『みんな、ここから談話室に入るのよ。入るには合言葉が必要だけれど、よく変わるから談話室の掲示板をしっかりと確認しておいてね!』
集団の最前列にいる監督生が石壁を示すと、そこに合言葉を唱える。すると、石壁が開いていき扉が出現した。そこを抜ければ間もなく談話室で、黒革張りのソファーや、緑色に光る幻想的なランプに照らされた薄暗い空間が目前に広がる。窓を見れば、月明かりに照らされた湖の中が見えて、遠くでなにかの影が揺らめいた。
「良い雰囲気だな、変に煌びやかすぎなくて落ち着く」
早速監督生が新入生を呼んで部屋割りを発表していく中、ぐるりと談話室を見渡すと上機嫌に呟いて。薄暗くはあるものの、目に痛くない彩りが心地いい。
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