三丁目のミケネコさん 2022-02-21 22:59:24 |
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「あぁ、あいつか。鶏ですらもっと賢いだろうに、もうオレに怒られたことも忘れているのか」
セシルにブランケットを投げた子供、と聞いてそういえば見覚えがあるなと思い出し。本人ならば、列車内で叱った時にオレを怖がっていたはずだがもうそのことも忘れているようだ。人の友達に無礼なことをしておいて、そのせいで叱られたことも忘れているようなおつむの弱さに、蔑みを込めて睨み返してやればビクリと肩を跳ねさせていそいそと他の集団に紛れ込んで行った。
「あぁ。隠したところで良いことはないから、そうしてくれよ」
セシルの返答に頷き。釘を刺したところでどの程度刺さりこんでいるのかはわからないが、恐らく彼は無理をするタイプだ、との自己判断で、多少は意識して目を配るようにしようと内心で決める。
「普通に考えたら掲載されるだろうが、デイリープロフェットはデタラメも偏向報道も多い。わざと載せていない可能性だって十分あるぞ?なんなら先生も迷ったまま帰ってこないこともあるかもしれないな?」
段々と弱くなっていくセシルの語気に、さてはこの手の話が苦手だな?と予想すれば、からかわれた仕返しにニヤニヤと悪い笑みを浮かべて語り。行方不明になれば間違いなく教員方が捜すはずだし、ホグワーツがわざわざ後暗い行いをしているとは思っていないので冗談半分な話だが、デイリープロフェットに対する意見には本音が混じっている。
(デイリープロフェット、前にセントリック家のことでデタラメ記事を書いていたからな。事実よりも売上重視の守銭奴記者が混じってるから大嫌いだ)
きちんと真実を報道する記者もいれば、インパクト重視のデタラメを書く記者もいる。まともな記者が多数なのはわかっているが、目立った悪行のせいで良い印象は抱けない。
「うぉっ。……しっし、見るな。早く前に進め」
カラスが羽音に驚いたセシルに釣られて、オレもつい声を上げてしまい。前方の集団が振り向いて視線が集まったので、手で払い除ける仕草をして進行を促し。
「セシル、こういう話は苦手なのか?随分と可愛い反応をしてたじゃないか」
集団がまた前を向き始めたところでセシルに振り返ると、口元に手を持っていけばクスッと笑い彼の様子を窺い。
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