誰か。 2022-01-26 16:54:10 |
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>25 椛 くれは
そんなに詳しく知りたいんですの?仕方ないですわね。……家族、でしたわ。大きい人型2体が小さい人型1体を守るようなあの戦い方は…。最初は人間の真似事かと思いました。でも、わたくしには…愛情が感じられましたわ。生殖機能が備わっているのか、それとも単なる強い絆で結ばれているだけの集団なのかは、分かりかねますけど。
(美辞麗句だけの労う言葉に対し簡易的ながらも鄭重さを含んだ応えは実に相手らしい。更には、此方が通路の端に避けなくても道を譲ってくれたのだ、言うなれば女王にでもなった良い気分を覚えるも端から譲られようとは思っていない。壁側に寄りたくても寄り切れないのは、右足がそうさせているから。壁側に寄ろうと下手にベクトルを変えても万が一転倒でもしたら、それこそ恥を描く事になりかねない。相手の行為に甘んじてそのまま横を通り過ぎる予定だったが、突として彼の声が耳に届きほんの僅かに通り過ぎた1歩先で、最後の痛みを残しピタリと足を止めた。止まった事によって右足に力を掛けずに済む為重心をやや左側に移動させ止まったままの状態で耳を傾ける。昨夜の討伐について報告書のみならず己が感じた事も訊ねられ小さく息を吐くと、口を開き相手を下目に見るような物言いを。しかし立場上、他の家の任務も把握しておく事は至極当然であり自分もまた然りと思えば相手の方を向くこと無く前方を向いたまま、一度瞼を閉じ再び開けて静かに話し始める。現れた3体の人型をした化け物を、自分含め3人で追い詰めるとそれらは抗戦してきたが、その動きは非常に気になるものだった。人間のそれを見て真似ているだけなのか、同情を誘う作戦なのかとも思ったが、そこにあったのは確かな愛情。親が子に向ける無償の愛を感じ得た。今までもある程度個体が群れた集団は確認されていたが、ここまで強固な結び付きを築いているものはいただろうか。家族と呼ぶべき強いコミュニティをどのようにして形成したのか気になるところではあったが、倒してしまった今では知る由も無い。自分の思い違いだとしたら虚偽の報告をしたとして嘘吐きのレッテルを貼られる可能性が無きにしも非ず。そうなれば松雪の名に関わってくる為報告書には愛情が感じられた事は挙げていない。フッと口角を緩めやっと相手の方に身体ごと向き直ると、疑念を孕んだ陰気な空気を入れ換えるよう明るさに努めて書いていないと伝えると共に、片手の人差し指を立てて唇の前に持って来て秘めていてほしい事を表し)
この事は報告書には書いておりません。わたくしの勘違いでしたら嘘吐きになってしまうかもしれませんもの。ですので、まだ内密にしておいてくださいます?
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