匿名さん 2022-01-24 20:12:42 |
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(さざ波立った感情のままに口を開けば、あとは止まることなく言葉が溢れだしてくる。全身で怒りを表現しながら一息に捲し立ててから、僅かに荒くなった呼吸を整えるように視線を伏せて深く息を吐き出せば、幾ばくかの冷静さを取り戻していって。だからこそ、再び視線を向けた先、困ったように思案する彼の様子が目に入り――端的に”やってしまった”と思った。貴族(多分)相手になんと言う口の利き方をしてしまったのだろうか。ともすればこの場で手打ちにされてもおかしくはない状況に、思わず逃げ場を探すように視線を彷徨わせる。扉は彼の後ろだから、いっそ窓を破って外へ――などと考えを巡らせていたところで声をかけられれば、見透かされでもしたのだろうかと、自分でも驚くくらいにびくりと肩が跳ね)――え…っと…?(待った、今なんて?思っていたのとはだいぶ方向性の違う言葉に一瞬理解が追いつかず、頭の中で彼の言葉を繰り返してみて、ようやくその内容を理解する。そして理解すれば、そもそもここがどこなのかすら知らないにもかかわらず、帰るなどと豪語した自分が恥ずかしくなり、それを隠すように視線を伏せて)――分かっ…りました。日が昇るまでは、待ちます(その言葉のすべてを信じた訳ではないが、少なくとも夜が明けるまでは大人しくしていた方が良さそうなのは確かで。何とか丁寧な言葉を取り繕えば、渋々といった様子ながら頷いてみせて、再び彼へと視線を戻し)――その森を抜ければ街なんですよね?明日のお昼くらいには、辿り着けるでしょうか。
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