門番 2022-01-22 17:59:35 |
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>70 兎
為せば成る .... なるほどな。
( ふむふむと大袈裟に感心しながら人間へと変化した兎の手を借り起き上がる。実際のところ為せば成るの意味は1ミリも理解していない。何度も変身を繰り返す姿を見て、為せば成る、なるほどね、とはならないだろう。さっきまで自身げにしていた兎は何処へやら。助けてくれたのはいいものの、またギャンギャンと怒りだす。その元気、分けて欲しいものである。貧血のせいか頭がガンガンと痛く目の焦点が合わない。そういえば、この兎人間の姿に戻っている。手を借りた時は無意識だったのか、改めて対面してそのことに気がつく。人間の姿の兎はよく見れば可愛らしい少女だが、そこらの人となんら変わりないと感じてしまう。人の顔が違うのは面白いが、集団で見て面白いのであって個人がどうのとは思えない。自分の顔もよく覚えていないくらいだ。ボーッとそんな事を考えていれば、兎は首だとか女王様だとかせかせかと忙しそうに騒いでいる。その聞き馴染みのない単語をいつもならスルーせずに詰問していただろう。だか目の前をふわりと浮遊して行った蝶にいつの間にか目が奪われていた。血が体内を巡り、やっと色彩が戻ってきたころにその蝶を見たからかもしれない。掴むように手を空へと上げるが蝶は指の隙間を器用にくぐり抜け、上へと飛び立っていく。引かれるようにして空を仰げば蛍光色のピンクや紫、黄色に青と、色とりどりの蝶たちが鈍色の空でくるりくるりと飛び回っている。)
ねぇ、あれなんて名前の蝶?すげーきれー。兎、あれ捕まえてくれない?
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