門番 2022-01-22 17:59:35 |
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>64 レイ
……あれ、足痛くないんだ?
( 木の上から見ていたときは戸惑っていたようだったが、己に応対するその瞬間にはもう何もなかったかのように振る舞っている。それはまるで別人のようで、しかしそれが至極自然で違和感を抱くこともなかった。感心すると共に、沸き上がったのは悪戯心。彼女を困らせたい、困った顔を見たい。厄介な感情は己を振り回し、かつ行動の理由となるのだ。心底愉快だと口角上げ、実際はまだ痛いであろう足を指先でつんとつついて。にまにまと笑みを浮かべながら様子を窺うのは、まるきりいじめっこのそれであると言ってもいいだろう。しかしずっと同じ悪戯を続けるのも、それはそれで飽きを引き起こす。つまらなくなったらすぐ次に行くのも、猫の自由気ままさ。当然のはずの問い掛けにやんわりと適当な答えを返すなり、目の前で黒猫へと変身してみせる。それから、ふざけた口調で普段は言わない「にゃあ」なんて猫らしさを醸し出し。一応説明しておこう、と猫の姿のまま気だるげに話し、最後にぴっと食指を──実際は前足だが──を差して。遠くから聞こえる悲鳴は、やや冷たい風に乗って耳に届き )
ここが不思議の国そのものなんだよねえ──はい、これで信じる?黒猫だにゃあ。で、招待状はアリスの元にしか届かないし、アリスと住人しか読めないから、キミはアリス。
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