箱庭 2022-01-18 15:55:01 |
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>>クイル
お手柔らかに、はこちらのセリフですよ。アンデッド相手に肉弾戦など、そこまで追い詰められた状態では膂力に差がありすぎて逆転なんて難しいと思いますが、果てさて如何なものなのでしょうか。……っと!
( ルームに響く機械音声を流し聞きしながら、それにしてもテストの内容は随分と変わっているなと脳の片隅で考えて。知能はともかく、単純な力比べでは人間よりも余程アンデッドの方に利があるので肉弾戦を強いられるまで追い詰められた状況ではどのみち勝ち筋は薄いだろう。勿論、体術も立派な戦法なのでそれを鍛えるという点では納得がいくが。そんなことを思考しながら、こちらに向かってくる彼の姿にスイッチを切り替えて。瞬時に間合いを詰められ、繰り出されるは直線的なジャブ。苦手科目とはいいつつも流石の洗練された動きに唸らされる。これがアンデッドならば、この拳を避けた後に攻撃を打ち込めば良いだけなのだが、相手は人間の──それもグレイシーが知る中では有数の才人の一人である。当然ジャブのみで終わるはずはないと考えて、身を左に躱して拳を避ければ視界に入ったのは今にも振り抜かれんとする左脚。まともに受ければ腹か、最悪鳩尾に入って動けなくなってしまうだろうそれを、身体の柔らかさを活かし、膝を折り畳んで低い位置で床と平行になる程に上体を反らせることで回避する。そして床に手をつくと瞬発的なその力で身体を宙へ持ち上げ、ブレイクダンスのような動きの回し蹴りでスピードを威力に乗せながら、彼の脇腹目掛けて右脚を大振り気味に勢い付けて。この蹴りでダメージを与えられるとは端から思っていない、次の攻撃動作に入られる前にバランスを崩させること狙いの一撃である。それが当たろうが避けられようが、遠心力のついた勢いのまますぐに立ち上がり、顎目掛けての掌底打ちを放とうとする。)
>>フランツィスカ
ありがとうございます。では、お隣失礼しますねぇ。
( 同じ中心部に住むものの、βとαでは到底埋めきれぬ溝がある。それはβ以下からαに昇格した前例が一つとして存在しないという事実も勿論だが、なによりも役割や立場に大きな差があるというのも重大な要因で。それこそ、如何にβといえどもグレイシーのような会社すら継げぬ存在は、この学び舎でなければ共に時間を過ごすことすら稀であろう。故にこの場はαのことを知る上でも非常に役に立つ良い機会だった。まずは時間を共有する了承を貰い、控え目にスカートを摘んで礼をすれば隣へと腰掛ける、しかし決して距離を詰めることはせずしっかりと間に空間を保ちながら思案し。さて、彼女がなにを憂いていたのかは定かではないが、試すような物言いからして恐らくは新聞に載っている事柄についてだろうか。彼女から向けられる視線を受け止め、にこりと微笑んでみながらも内心では間近で拝む高潔な雰囲気と落ち着き、そして頂点に相応しい堂々たる気品に気圧されないこともないが、折角の時間を無駄にすることはバッグを埋める札束にも変え難い価値があると理解しているため、あくまで平静を装い。そして、彼女の問いへは士官学校生として、あくまで彼らの活動に対してのみに触れた純粋な感想を述べてみせる。)
ええ。例えば新たな完全栄養食の研究、研究者の功績を称えた表彰、様々に興味は尽きませんがやはりアンデッドの大規模な被害を見事制圧したAUFの記事でしょうか。突発的且つ甚大な被害へも落ち着いて対処し、その騒動を鎮圧なさった彼らに、その道を目指し追いかける者としてやはり尊敬の念を抱きますねぇ。
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