刑事A 2022-01-18 14:27:13 |
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( 幾ら水で洗い流しても落ちる事の無い赤、焦燥と罪悪感ばかりが募り胸が押し潰されそうになる。そんな自分の手を背後から取ったのは相手だった。水を掛けて、そして水気を拭ったタオルにべっとりと赤が纏わりつく事は無かった。掌に人肌の温もりを感じ、目の前に立つ相手の泣き出しそうな表情を認識する。手は汚れていない。しかし未だ不安定なのだろう、相手だと認識した直後に妹の姿が重なり目の前に居るのが何方なのか分からなくなる。_____過去から逃れたい、あの事件の所為で心を壊したくない、けれど過去を忘れる事は“罪”だ。そして現実に犯した“罪”を幾ら後悔した所で、生涯消える事はない。其の葛藤を十数年繰り返し、徐々に深みに足を取られているのだ。---目の前の”妹”の顔を見つめ、そっと頬を撫でる。謝罪を述べようと僅かに開いた唇は音を紡ぐ事はなく、仄かな光を纏って潤んだ相手の若葉色の瞳を見据えた。肩に落ちるのは真っ直ぐなシルバーの髪。「_____ミラー、…」相手の名前を紡ぐと、僅かに眉を顰め視線が落ちる。「……心が、…壊れそうに痛い、」楽になりたいのに、記憶が其れを阻む。けれど、幻覚は消えていた。掌を相手の頬に添えたまま、自分を取り戻そうと深く息を吐いて。 )
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