刑事A 2022-01-18 14:27:13 |
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( 浅い呼吸の中、強い力で握り締めていた手が一度は相手の成すがままに離れたものの、包み込まれた手の甲を相手の指先が撫でる感覚で視線が手元に落ちる。手が血に染まっている、其れが幻覚だとは今は分からなかった。「…っ、触るな!!」思わず相手の手を振り払うと、徐にベッドを降りる。視界が揺らぐのだが、そのまま覚束ない足取りで寝室を出てシンクへと向かうと蛇口から水を出す。「____汚い、…っ落ちてくれ、」血塗れた手を洗おうとしたのだが、洗っても洗っても嫌な赤は落ちない。懇願するような言葉が苦しげな吐息と共に唇から漏れ、今はただ悪夢が引き連れて来た“血の記憶”に取り憑かれていた。自分の状態を客観的に見てこれが幻覚だと気づく事も出来なかったが、こうやって可笑しくなって行くのかと何処か遠い所では僅かに感じていただろうか。 )
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