刑事A 2022-01-18 14:27:13 |
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( その反応は至極自然なものだろう。少しの驚きを表情に此方を見たり手元の合鍵を見たりを繰り返す相手の姿を緩い笑みのまま見詰め、ややして漸く受け取る気を見せた様子に口元の笑みを色濃いものにすると「返さなくても良いよ。何時かエバンズさんが此処を出て行った後も、何時でも泊まれる様に。」何の躊躇いや淀み無く、これまた絶対に相手は困惑するだろう返事を返しつつ、その表情を見たいと言う若干の意地悪心を持ちながらも、敢えて何事も無かったかのように相手に背を向け部屋着に着替える為寝室に戻り。再びリビングに来た時、相手は丁度錠剤を飲み込む所だった。それが安定剤か睡眠薬かまでを一瞬の判断で出来る訳も無かったが、何方にせよ眠る事に少なからず恐怖心を抱いている事は間違い無いだろう。人が身体を休める為、当たり前に訪れるその時間が、相手にとっては恐怖や苦しみの時間となる事が酷く心を締め付けた。「…ラベンダーの香りは苦手?」唐突にそう問い掛け相手を見上げる。「新しくアロマを買ったの。強い香りじゃないし、もし苦手じゃなかったら寝室に置こうかなって。」ストレスを緩和してくれる香り、なんてそんな物で楽になるなら誰も薬など飲まないと思うのだが、“そう言うもの”を少しだけ取り入れるのも悪くは無いと思ったのだ。気休めでも、何だって。軽く相手の背に触れ、その手を緩やかに動かす事で言葉の無い“大丈夫”が少しでも届くと良いと )
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