刑事A 2022-01-18 14:27:13 |
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( ___油断していた。相手の心身の不調を忘れていた訳では当然無いが、此処数日は点滴が効果を発揮してくれていたのか比較的落ち着いて見えていたのだ。瞳の奥の光も何時も通り鋭く、不自然に動きを止める姿を見た事も無い。勿論安定剤や鎮痛剤を服用する姿は見たが、相手が薬を飲むのは言わば“日常的”な事。だからこそ、少しの気の緩みがあった。___手袋が己の手に渡る直前、重なった碧眼にありありとした恐怖とその他様々な“闇”が一瞬にして広がったのがわかった。思わず目を見開くも、何か言葉を発するよりも先に相手の身体は床に崩れ、あっという間に意味をなさなくなった呼吸音が響く。苦しいのだろう、耐えられない痛みの中に居るのだろう、胸元を握り締める骨張った指先は白く、辛うじて口にした“セシリア”の名も途切れ途切れに震えている。「っ、エバンズさん!しっかりして!!」矢張りこの場所は駄目だった。瞬時にそう思ったのだが、“瞳の色”にまで意識が向かなかったのは、今目前で苦しむ相手をどうにか落ち着かせたいと言う気持ちが強かったからか。抱き竦める様に背中に片手を回し、もう片方の手は意識を保つ為だろう、腕に深く爪を立てる相手の手に重ね、そのまま握り込む様に僅かに力を入れる。「大丈夫だから…っ、直ぐ楽になれるから、!」その体勢のまま相手の耳元で懸命に言葉を紡ぎ、その意識が落ちない様にと )
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