刑事A 2022-01-18 14:27:13 |
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( 相手の返事に腕時計に視線を落とす。前回の服用から既に十分な時間は経っていて今飲んでも問題無いと判断すれば相手の背から手を離し鞄の中にあるだろう処方箋の袋を取ろうとしたのだが。__遠くに救急車のサイレンの音が聞こえ署の近くの道を通過したのだろう、音が大きくなり再び遠く消えていったのを鼓膜が当たり前に拾った時、相手の呼吸音が変わった。ハッとして顔を向けると先程までの狂いそうなのを辛うじて抑え込めていた呼吸とは違い、肺まで確りと酸素が届いていない、喉の奥で引っ掛かる様な息遣いの相手がその苦しさと鳩尾の痛みに耐える様にシャツを握り締めていて。浅い呼吸に混じり喘ぐ様な声が漏れるこの状態ではとても錠剤を飲み込む事など出来ないだろう。先ずは少しでも呼吸のペースを取り戻し、薬を飲む事が出来る所まで回復しなければならない。この時間帯、署員が何時この部屋の扉をノックしても可笑しくは無い状況もまた焦燥が募るもので。過去の思い出したくない記憶が強制的に呼び起こされているのならば、塗り替える切っ掛けが必要だ。徐にポケットからスマートフォンを取り出し開いたのはアルバムのフォルダー。何時かの日、相手と共に訪れた陽の光が反射しキラキラと輝く青い海を撮影した動画を流すと、それを相手の前に置き。「…ほら、見て。海綺麗だったよね?少し肌寒かったけど、ちゃんと潮の匂いもした。…覚えてるでしょ?」波が寄せては返す一定の音が静かに部屋に流れる中、相手の背を擦りながら、血に濡れた記憶では無い別を思い出せる様にゆっくりと話し掛けて )
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